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目が覚める。
ここはどこやろか、一面緑で周りには何も無い。ただ動物を飼うためのような柵が、果ての果てまで一直線に並んでるだけやった。
｢なんやここ、なんでこんな所におるんや｣
問うてみても返事はかえってこおへん。しんと静まり返った草原で、ゆるりと風が吹いているだけ。空模様は夕暮れとも夜とも言えん色をしてる。
雲が風に乗ってゆっくりと流れてるのがわかって、星もまばらに浮いているみたいや。
唯一存在を主張している柵に近付いてみることにした。背は高くなくて、すぐに飛び越えられそう。
俺は飛び越えてみようと思い、柵に手をかけた。
｢ダメだよその向こうは｣
｢え？｣
静かな草原からいきなり聞こえてきた声に驚いた俺は柵から手を離して、声のした後ろの方を振り返った。
そこにはすこし怒ったような表情の少女がいた、見た事ないちょっと変わった服を着た女の子が。
｢その向こうこそ、なんにも無いよ。こっちにおいで｣
｢なんでそんなこと知ってるん？それやったら、ここらへんにもなんもあらへんやん｣
｢私はずっとここにいるからね｣
そう言うと彼女は眉を下げて少し困った表情をした。
景色はさっきと変わらず何も無い。彼女はこんな場所でどこから現れたのだろうか。
｢あっちに羊小屋があるの。そこに行こう、外は冷えるからね｣
そう言って柵とは反対側の後ろの方を指した。
なんか不思議な子やな。彼女に対しての第一印象はそんな感じ。
サクサクと音を鳴らして彼女が草原を歩いて行く。こんなどこかもわからん場所に1人は嫌やなって思って、俺はついて行くしかなかった。
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作者名：ねこ | 作成日時：2021年5月4日 0時
