２ 引きこもりの少女 ページ2
カーテンの隙間から白い光が差し込んでいる。
電気が消え、真っ暗な部屋の中ではその光はスポットライトのようだ。
部屋の隅で小さな黒い影が動いた。
Aは縺れた髪もそのままに体を起こし、僅かに開いているカーテンを締めに向かう。
一瞬だけAを光が照らした。
眩しそうに目を細め、すぐにカーテンを閉めたA。
再び部屋に暗闇が戻ってくる。
ベッドに寝転がり、Aは虚ろな目で天井を見つめる。
自分を照らした光。
もしできることなら、もう一度日の光を浴びたい。
そして、何かに縛られることなく、明るい光の中で自由に生きてみたい。
たったそれだけの願いは、きっと叶うこともないのだろう。
窓の外では季節が移りゆくも、彼女がその季節の移ろいを感じることはない。
はあ、とAは吐息を漏らした。
そして起き上がり、スマホの画面を開く。
画面には、既にたくさんの開かれたタブがあった。
新たにもう一つタブを開き、検索画面に移る。
”
七海芽郁とは、Aが特に好きな歌手だ。
歌手と言ってもまだ彼女は高校三年生。つまりAの２つ上だ。
Aには、彼女の全てが理想だった。
自分の好きなことを自分の好きなだけできて、それによって生計をたてられる・・・自分の憧れそのものの生活を、芽郁はしていたのだ。
時折、Aも舞台で歌を歌っている夢をみることがあった。
その時はただ幸せで、一生このときが続けばいいのにとさえ思った。
だが、夢は夢で、いつか覚めてしまう。
目を開いて、目の前に大勢の観客とペンライトではなく無機質な天井が広がっていた時の落胆は辛いものだった。
そして、落胆と共に自己嫌悪にも陥るのがAの悪いところだ。
(どうせ私はあっち側の人間になれるわけがない・・・なのにどうして意味もない夢をみちゃうんだろう？私って愚かだな)
心の中で、叶うことのない夢を思い描いた自分を散々罵りながら再び目を閉じる。日常茶飯事だ。
それでも、なぜか彼女の小さな希望の火が燃え尽きることはなかった。
そして、Aはまた己を嫌悪するのである。
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リアナ-璃亜那-(プロフ) - レミードールさん» ありがとうございます！違和感のある文章等ありましたら遠慮なく言ってくださいね！ (2021年9月21日 15時) (
レス) id: 6afe7efa1d (このIDを非表示/違反報告)
レミードール - とっっっってもおもしろいです！ (2021年9月21日 15時) (レス) id: 2c7b3635e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リアナ-璃亜那- | 作成日時：2021年7月24日 12時
