褒め合い ページ5
先輩は驚くほど作業するのが速かった。
今回私が学んだのは、二人で作業すると一人のときと比べ２倍速くなるというのは間違いだということ。
慣れているのもあるだろうが、それにしても早すぎる。
更に、自分よる早く終わるはずの先輩の分の用紙が妙に減らないと思っていたら、私の分から少しずつ抜き取っていたらしい。
それに気づいて慌てて謝ると、書類を片付けていた先輩は首を振った。
「いいって、沢村さんは先にたくさんやってくれたでしょ」
「そうですけど、でも・・・。・・・ありがとうございます」
狐弾先輩の言う通り、私は途中まで一人でやっていた。うまく反論できなくなり、私は素直にお礼を言った。
「いえいえ」
書類をすべてしまい、廊下に出て二人で歩く。
「それにしても沢村さんって、いつもお礼言ってくれるよね」
「え？そうですかね」
唐突な振りに戸惑いながら私は首を傾げた。全くの無意識だ。
「そうだよ。そのおかげで俺ももっと何かしてあげたいと思うし」
「そんなこと！感謝しているのは事実ですし、先輩のことを尊敬しているからというだけです」
「君はほんとに褒め上手だね」
照れたように頭の裏を掻きながら言う狐弾先輩の口調は優しい。
「そういうところ、きっといろんな人に好かれるでしょ？」
「まさか！全然好かれませんよ。告白されたことだって一度もありません。先輩がモテそうだっていうのはわかるんですが」
「そうなんだ、それは意外だな。モテるとはよく言われるけど、俺そんなになのかな？」
「絶対モテますよ！」
「自分ではわからないけど、ありがとう」
同級生にモテると言われたときは全力で否定していたのに、どうして私相手だとこんな答え方をするのだろう？
狐弾先輩はいい人だけど、謎が多いタイプなのだろうか。よく分からない。
「・・・あ、そろそろ教室ですね」
いつの間にか教室の前まで来ていたことに少し驚いた。狐弾先輩といると話が弾むのか、時間が経つのが本当に早い。
「そうだね。じゃ、これで」
「はい、ありがとうございました」
言うと、狐弾先輩は踵を返し去っていく。
教室に入ってから気づいた。狐弾先輩の教室はもっと手前ではなかったか？
私の教室の前まで来たということは、自分の教室は通り過ぎていたということになる。
どうやら、わざわざ私を送ってくれたようだ。
本当に優しいんだな、先輩って。
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夕和(プロフ) - sogu508さん» ちょっとそのコメントやめてｗｗｗめっちゃ笑ったｗｗｗｗｗ (2022年11月29日 20時) (
レス) id: 40c359dc38 (このIDを非表示/違反報告)
sogu508(プロフ) - どうも狐弾先輩です。読者の皆さん俺の彼女がお世話になっています。不思議な気持ちですが毎回楽しみです。 (2022年11月29日 20時) (レス) @page15 id: 4549537148 (このIDを非表示/違反報告)
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