唯一の楽しみ ページ6
こんな毎日を過ごす私にも、ちゃんと楽しみはあった。
楽しみというか、趣味というか・・・とにかくそれは唯一無二なので、これすら邪魔されればもう私は壊れてしまうかもしれなかった。
その趣味というのは、星を見ること。
真夜中、たった一人で外に出て一人静かに星を見る。
夜はただでさえ真っ暗なのに、この辺で夜出歩く人は殆どいない。異形の何かが出るなどという噂もあるが、所詮ただの噂話だ。私の時と同じように誇張されただけなのだろう。
いずれにせよ私にとっては好都合。暗いとより星が綺麗に見えるし、人通りが多いと幽霊と見間違えられたりするかもしれないので厄介だ。
星を見ると言っても、私の場合は特殊である。
普通に地面に立って見上げるのでは首が疲れるので、屋根に登るのだ。
うちは平屋だし、何故か運動神経だけは生まれつき人に自慢できる程度に備わっていた。
廃棄予定のものを一時的に保管するための古びた木箱を足がかりにして、勢いをつけて屋根に飛び上がる。
親には気味悪がられたが、人様に迷惑はかけていないため渋々許可を頂いた。
屋根に登ると、下に響かないよう静かに寝転び、ぼんやり空を見上げる。
この瞬間だけは何も考えずにいられた。
千花のことも、両親のことも、馬鹿げた噂のことも全て。
私にとっては心が安らぐ至福の一時だ。
かと言って、星をあまりに長時間見続けてしまえば翌日起きられなくなる。名残惜しいが、私のささやかな趣味は早々に切り上げる必要があった。
でも、全くその時間を取らせてもらえないよりはましだ。
繁忙期に入って忙しい日はどうしても睡眠時間を優先してしまい趣味の時間は取れないが、それ以外の時期には毎晩夜空を見上げた。
そうやって空を見上げていると、ふと思うことがある。
A(このままずっと、夜空を見上げていられたらな。朝早く起きなくても問題ない人生なら良かったのに)
でも、こんな生活をしているからこそ星の魅力に気づけたのかもしれないし、今更願ったところで意味がない。何も変わらない。
自分の密かな願望を胸の奥底に留めたまま、私は今日も空を見上げた。
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たまき＠元夕和(プロフ) - こだぬきさん» そうなんですね！なんだか堕姫ちゃんらしい・・・ (2022年12月29日 16時) (
レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - たまき＠元夕和さん» 一度匂い試してみた事あったんですけど、可愛い様な色っぽい様なそんな感じの匂いでしたよ。 (2022年12月28日 21時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
たまき＠元夕和(プロフ) - こだぬきさん» はじめまして！いつもありがとうございます。そうですね、人間時代はできませんでしたからね･･･。めっちゃわかりますそれ！！ (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
たまき＠元夕和(プロフ) - 零さん» わかりました、ありがとうございます！ (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - はじめまして！いつも楽しく読ませて頂いてます！私個人としては千花ちゃんも鬼になって姉妹仲良く暮らして欲しいなと思ってます。後堕姫ちゃんといえばイメージ香水あるんですよ〜。 (2022年12月28日 19時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
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