猛毒 ページ47
-颯Side-
何かが、おかしい。
私の体にうまく力が入らないようになってきた。先程まではなかった感覚だ。
負った怪我はただのかすり傷。出血だってほとんどしていない。
それなのに、この感覚はなんだ?
心做しか息も上がっているような気がする。
それに、ついさっきの男の鬼の言葉。
”お前ももう少しすれば傷の意味が分かる”
これは、ただの傷ではないのか?何かそれ以上に深い意味でもあるのか?
妓夫太郎「何だお前、随分毒の回りが早いなぁぁ」
男の鬼が怪しげな笑みを浮かべて言った。
待て、今毒と言ったか?
脳内で鬼の言葉を反芻したと同時に、先程まで何ともなかった頬の傷がじくりと傷んだ。
妓夫太郎「気の毒になぁぁ、今やっと気がついたなんてなああ」
挑発するように言う鬼の言葉も、今は入ってこない。
もしこの妙な違和感の正体が毒だとしたら、あの鬼の攻撃に毒が混じっていたせいだとしたらかなりまずい。
颯「毒が入って・・・いるのか」
体の不調がどんどん増している。嫌な汗をかいているのがよくわかった。
妓夫太郎「辛いだろうなぁ、苦しいだろうなぁ。俺の毒は強いからなあ、人間なんてすぐに死んじまうんだよなぁあ」
きっと私の顔色は悪い。それを見た上でのその台詞なのだろうと私は思った。
呼吸をする。
普通の呼吸ではない、全集中の呼吸と呼ばれる特殊な呼吸を。
少しでも、ほんの少しでも毒の巡りを抑えなければ、私に勝利はない。
たとえこの後死んでしまったとしても、この鬼達だけは、私が倒さなければ。
これ以上犠牲者を増やさないためにも、命をかけて私が頚を斬る。
覚悟を決め、汗ばんだ手で刀を持ち直す。
颯「お前たち二匹共、今ここで倒す」
宣言した私の顔を、二匹は軽蔑したような目で見ていた。
-颯Side 終わり-
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たまき@元夕和(プロフ) - こだぬきさん» そうなんですね!なんだか堕姫ちゃんらしい・・・ (2022年12月29日 16時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - たまき@元夕和さん» 一度匂い試してみた事あったんですけど、可愛い様な色っぽい様なそんな感じの匂いでしたよ。 (2022年12月28日 21時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
たまき@元夕和(プロフ) - こだぬきさん» はじめまして!いつもありがとうございます。そうですね、人間時代はできませんでしたからね・・・。めっちゃわかりますそれ!! (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
たまき@元夕和(プロフ) - 零さん» わかりました、ありがとうございます! (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく読ませて頂いてます!私個人としては千花ちゃんも鬼になって姉妹仲良く暮らして欲しいなと思ってます。後堕姫ちゃんといえばイメージ香水あるんですよ〜。 (2022年12月28日 19時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
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