真偽の程は ページ5
暫くして帰ってきた両親と千花に、私は事の顛末を話してみることにした。
あてにされない可能性も十分あったが、もし両親までもがこの噂を信じていたのなら少しは私に対する姿勢も改善されるのではないかと思ったからだ。
A『あの、父ちゃん母ちゃん。今日二人と千花が出かけてる間にお客様から噂を聞いたんだけど』
そう言って、私は二人に聞いた話を正確に伝えた。
A『・・・ってことらしくて』
でも母は冷たかった。
母「それで?」
A『え』
母「それがどうしたんだい。言わなきゃ分からないだろう」
まさかこんなに無反応だとは思わなかったが、ここで「なんでもないです」と引き下がるのはおかしい。ちゃんと説明すれば分かってくれるはず。
A『この噂だけど、本当のことじゃないよ。千花には劣るかもしれないけど接客だってある程度できるし、泥棒だって閉店してから来た。もし母ちゃんや父ちゃんがこの噂を信じてたとしたら嫌だなと思ったから伝えようと思ったんだ』
”千花には劣る”と言ったことで角が立たなくなっただろう。うちの両親は千花を溺愛しているのだから、この言葉を混ぜておかなければ鉄槌を下される。
母「いやだ、何言ってるの!それ本当のことじゃないか!」
A『・・・は』
母の言葉に、間の抜けた声が口から漏れた。
母は冗談はやめろと言いたげな冷徹な笑みを浮かべていて、ふざけて言ったわけではないことが分かった。
母「今言ったよねあんた、千花には劣るけどって!千花はあんたの妹なのに、妹よりも接客できなかったらできないのと一緒じゃないか」
違う。それはそういう意味じゃない。
言いたかったけどできなかった。それはそれで火に油を注ぐようなことになりかねないからだ。
母「あと泥棒の話だって、あんたが店番してた日の話だろう。言葉の綾だよ、言葉の綾!」
A『・・・はい、そうですよね。すみません』
私はその場を去った。
この親に何を言っても意味はない。前から分かっていたことではあるが、今回のことでよりそれが身にしみた。
というか、そもそもこの噂を流したのは両親なのではないか?
そんな考えが頭をもたげてきて私は首を振った。
何を思っても、意味なんかないでしょう?
〚江戸こそこそ噂話〛
夢主の予想通り噂を流したのは両親です。流したときはもっと違う表現だったのですが、誇張されたため夢主が聞いたような話に変化しました。
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たまき@元夕和(プロフ) - こだぬきさん» そうなんですね!なんだか堕姫ちゃんらしい・・・ (2022年12月29日 16時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - たまき@元夕和さん» 一度匂い試してみた事あったんですけど、可愛い様な色っぽい様なそんな感じの匂いでしたよ。 (2022年12月28日 21時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
たまき@元夕和(プロフ) - こだぬきさん» はじめまして!いつもありがとうございます。そうですね、人間時代はできませんでしたからね・・・。めっちゃわかりますそれ!! (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
たまき@元夕和(プロフ) - 零さん» わかりました、ありがとうございます! (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく読ませて頂いてます!私個人としては千花ちゃんも鬼になって姉妹仲良く暮らして欲しいなと思ってます。後堕姫ちゃんといえばイメージ香水あるんですよ〜。 (2022年12月28日 19時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
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