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生き残るため ページ39

堕姫さんは、本当に綺麗だった。


髪色などは鬼のときと違うが、顔の美しさはまったく変わらない。


同じ女性である私から見ても見惚れるほどなのだから、”そういう”目的で来た男などは色々な意味でどうなることやら。


かなり重量があるであろう着物を慣れた手付きで翻し、堕姫さんが部屋の奥を指す。


堕姫「入って。もてなしたりはできないけど」


A『お気になさらず!お邪魔します』


部屋に入って、静かに襖を閉める。


襖は、美しい赤の牡丹の花の絵で彩られていた。


どこからか、するりと帯が部屋に侵入してきた。堕姫さんの身につけているものと同じ模様をしているが、その中に人の姿が混じっている。皆女性だ。


その中でひとしきり美しい顔立ちをした女性が、帯から出てきた。


ゆっくりと、吐き出されるように体が出てくる。やがて、鈍い音と共に畳の上に転がった。


生きてる。


気配でそう分かる。


堕姫さんの血鬼術は本当にすごい。立体のものを平面の帯の中に閉じ込めてしまうなんて、何がどうなっているのだろうか?


堕姫「これは最近捕まえた獲物。なかなか美しいでしょう?アタシの帯はね、戦う以外にもこうやって役に立ってるの」


喰う?と尋ねる堕姫さんの言葉を丁重にお断りして、私は帯が再び女性の体を飲み込んでいくのを眺めていた。


恥ずかしながら、私はまだ血鬼術が使えない。


でも、いつか使えるようになったときには、堕姫さんにも見せてみたいと思った。


A『堕姫さんは前、美しいものしか口にしないって言ってましたよね?こうやって収集しているんですね』


堕姫「そうよ。それにここは遊郭。遊女がいなくなるなんてよくあることだから、消えても足抜けしたとしか思われない・・・絶好の隠れ場所だと思わない?」


A『なるほど!堕姫さん、頭いいんですね』


堕姫「嬉しいこと言ってくれるじゃない」


どうやら、生き残るために必要なのは戦う力だけではないらしい。


どうすればより効率的に、かつ安全に食糧を集めることができるのか。それが、鬼と鬼狩りが殺し合うこの世界において、必要なことなのだ。

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たまき@元夕和(プロフ) - こだぬきさん» そうなんですね!なんだか堕姫ちゃんらしい・・・ (2022年12月29日 16時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - たまき@元夕和さん» 一度匂い試してみた事あったんですけど、可愛い様な色っぽい様なそんな感じの匂いでしたよ。 (2022年12月28日 21時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
たまき@元夕和(プロフ) - こだぬきさん» はじめまして!いつもありがとうございます。そうですね、人間時代はできませんでしたからね・・・。めっちゃわかりますそれ!! (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
たまき@元夕和(プロフ) - 零さん» わかりました、ありがとうございます! (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく読ませて頂いてます!私個人としては千花ちゃんも鬼になって姉妹仲良く暮らして欲しいなと思ってます。後堕姫ちゃんといえばイメージ香水あるんですよ〜。 (2022年12月28日 19時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たまき | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年7月19日 6時

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