噂話 ページ4
私が知る他の家は、皆年上を優遇していた。
優遇と言っても、うちのようなあからさまな差別をしているわけではない。
家を継ぐ者としてより教育に力を入れているということだ。
但し、勿論年下を大切にすることも忘れていない。
どうして両親は私を冷遇するのだろう?流石にこんなのひどすぎないだろうか?
一人受付で悶々としていると、突然声をかけられた。
「失礼するよ。ここって季節の着物はもう置いてあるかい?」
A『あ、いらっしゃいませ!はい、ございますよ。一番手前とその奥の棚に全て揃っております』
お客様だ。
さっきまで私はきっと仏頂面をしていただろうから、それを誤魔化すように笑顔で接客をする。
「そうかい。じゃ見ていくかね」
そう言ってお客様が中に入っていく。棚の影に隠れる直前不思議そうに首を傾げたのが見えたような気がするが見間違いだろうか?
この接客、どこが妹より劣っているのか私が知りたい。
暫くするとさっきのお客様が私の前に現れた。
手にはうちで売っている着物。どうやら目当てのものが見つかったらしい。
「勘定をお願いするよ」
A『かしこまりました。お値段こちらになります』
「ほれ」
A『まいどどうも』
お金を受け取り数えていると、お客様がふと言った。
「あんた、確かAちゃんだよね?」
A『はい、Aでございます。如何致しましたか?』
「いやね、噂で聞いたのと随分違うなと思って」
A『噂・・・ですか』
お客様からその噂話を聞いた私は驚愕した。
「あんたが店番もまともにできず客が来てもおどおどするだけで困るとか、目の前で堂々と盗みに入られたのに何もしなかった出来損ないだとか・・・」
A『はあ!?』
見に覚えがなさすぎる。
「だから、最初はあんたが店頭に立ってるもんだからどうしようかと思ったよ」
A『そんな噂を聞いていればそう思うのも無理はないですが・・・』
「2つ目の話の真偽はどうなんだい」
A『確かにうちの店が泥棒に入られたことはありますし、その日は私が店番をしていました。でも泥棒が入ったのは真夜中ですよ。もうとっくに店は閉めた時間でした』
「おやまぁ、こりゃ随分な噂だねぇ。苦労してるんだねあんたも」
A『あはは・・・』
お客様に同情され、私は愛想笑いをするしかなかった。
一体誰がこんな酷い噂を流したのだろうか?
108人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たまき@元夕和(プロフ) - こだぬきさん» そうなんですね!なんだか堕姫ちゃんらしい・・・ (2022年12月29日 16時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - たまき@元夕和さん» 一度匂い試してみた事あったんですけど、可愛い様な色っぽい様なそんな感じの匂いでしたよ。 (2022年12月28日 21時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
たまき@元夕和(プロフ) - こだぬきさん» はじめまして!いつもありがとうございます。そうですね、人間時代はできませんでしたからね・・・。めっちゃわかりますそれ!! (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
たまき@元夕和(プロフ) - 零さん» わかりました、ありがとうございます! (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく読ませて頂いてます!私個人としては千花ちゃんも鬼になって姉妹仲良く暮らして欲しいなと思ってます。後堕姫ちゃんといえばイメージ香水あるんですよ〜。 (2022年12月28日 19時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ