上弦の陸 ページ25
童磨「それにしても」
目の話が一段落したころ、童磨さんが大袈裟にため息をついた。
童磨「上弦の陸の二人は何をしてるわけ?随分と遅いけど」
確かに、上弦の陸はまだいない。
だがそれ以前に、ここで私はふと彼の台詞に引っかかった。
A『今、上弦の陸は二人って言いましたか?』
童磨「まだ黒死牟殿から聞いてなかったのか。そうだよ、二人いる。遊郭で生まれた兄妹でね、死にかけてた所を俺が鬼にしてやったんだ」
やはり二人だった。
しかも無惨様ではなく、上弦の鬼による鬼化。どうやら上弦の陸は私と似たような境遇らしい。
にしても、華やかなはずの遊郭で死にかけるなんて、一体どのような人生を辿ってきたのだろうか。
童磨「琵琶の君。こんなに時間をかけて二人は何をしてるの?」
童磨さんが、私がずっと気になっていたことを鳴女さんに聞いてくれた。
童磨さんは鳴女さんのことを琵琶の君と呼ぶのか。飄々とした彼らしい、小粋な呼び方だとこっそり思う。
鳴女「上弦の陸様は柱と戦っておられます。ただお二人が押していますので何も問題はないかと」
柱。
その言葉を受けて、私は唾を飲み込む。何度か黒死牟さんの話の中に出てきた単語だ。
私達鬼を滅殺しようと戦う鬼狩り。それにも、私達と同じように位が存在する。
その一番上に柱がいるという。つまり、柱は鬼狩りの中で最強の存在なのだ。
私のような下っ端なんて、一瞬で殺られてしまうだろう。
童磨「あれ?どうしたの」
押し黙った私を心配するように、童磨さんが声をかけてくれる。
童磨「・・・あ、分かった。鬼狩りのことでしょ」
図星だ。
童磨「大丈夫だよ〜。もし何かあったとしても、黒死牟殿がいるでしょ、Aちゃんには」
童磨さんが危機感が皆無な声で言った。
確かにそうだ。私には黒死牟さんがいるではないか。なのに、何を心配していたのだろう?
A『ありがとうございます。・・・童磨さんって、確か宗教の教祖でしたよね?流石というべきか、人の心を推し量ったり元気づけたりするのに長けてるんですね』
童磨「そうかな?自分じゃ分からないけど」
彼が鬼となって不死身の体を手に入れても未だに教祖でいられるのは、この話術の賜物かもしれない。
〚お詫び〛
更新が遅くなってしまい申し訳ありませんでした!
主は今忙しくテスト直前並のスケジュールです・・・
また遅れるかもしれませんが、どうか暖かく見守って下さい
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たまき@元夕和(プロフ) - こだぬきさん» そうなんですね!なんだか堕姫ちゃんらしい・・・ (2022年12月29日 16時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - たまき@元夕和さん» 一度匂い試してみた事あったんですけど、可愛い様な色っぽい様なそんな感じの匂いでしたよ。 (2022年12月28日 21時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
たまき@元夕和(プロフ) - こだぬきさん» はじめまして!いつもありがとうございます。そうですね、人間時代はできませんでしたからね・・・。めっちゃわかりますそれ!! (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
たまき@元夕和(プロフ) - 零さん» わかりました、ありがとうございます! (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく読ませて頂いてます!私個人としては千花ちゃんも鬼になって姉妹仲良く暮らして欲しいなと思ってます。後堕姫ちゃんといえばイメージ香水あるんですよ〜。 (2022年12月28日 19時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
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