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何のために ページ17

真っ赤な血が吹き出した。


千花がゆっくりと倒れ込む。こんな量の血が人間の体から流れ出れば確実に死ぬだろう。


母「いやっ・・・千花・・・千花ぁ・・・っ!!」


母ちゃんが真っ青になって叫ぶ。今にも狂いそうだ。


父「よくも千花を・・・貴様!!」


父ちゃんは母ちゃんとは対照的に、顔が怒りで赤くなっている。


少し遊んでみるか。


A『ふふ、随分と顔が色とりどりだね。赤と青・・・千花は赤い着物の方が似合ってたなぁ』


父「ふざけるな!俺たちの千花をこんなふうにして、ただで済むと思ってるのか!?」


A『こんなふう、ね。どうしても殺すって言いたくないのかな?ただで済むと思ってるのかって・・・具体的に何するの?』


挑発するのが楽しい。


でもこれはきっと、鬼になったことなど関係ないだろう。単純に両親が嫌いで、許せないからだ。


A『私はね、傷くらい治る体になったんだよ。どうこうできるわけがないでしょう』


母「だとしても、千花をこうすることはなかったじゃない!なんで・・・どうしてよ!!」


やっとまともに話せるようになった母が食って掛かる。


A『わかんないの?・・・嫌いだからだよ、あんたらが』


笑みを顔から消し去り、冷たい表情になって二人を睨みつけると、二人が押し黙った。


A『千花がいい子なのは私だって知ってた。でもね、私だってあんたらの子供なんだよ?差別しなきゃ、私だってこんなことしなかった』


ゆっくりと二人に近づき、見下ろす。


A『あんたらを先に殺すことだってできた。でも千花を先にしたのはね、苦しむ顔を見るためだよ。ねえ、千花のことが大事なんでしょ。何よりも大事なんでしょ?そんな大事な人が死ぬのを見るの、辛いよね?』


頷く気力もない二人に、私は最後の言葉の鉄槌を下した。


A『私はこれくらい苦しんだんだよ。可哀想に・・・千花はあんたらのために殺されたんだ』


二人が完全に絶望するのを確認してから、私は両親を殺した。









黒死牟「終わったか」


家の外に出ると、黒死牟さんが立っていた。


いないと思ったら、気を遣って外に出てくれていたのか。彼の優しさに頬が緩む。


A『はい、お待たせしました』


黒死牟「ところで・・・その腕に抱えているのは」


A『私の妹、千花です』


そう、私はぐったりした千花を抱えていた。


その首には、どこにも生々しい傷跡などなかった。


私は千花を、殺していない。

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たまき@元夕和(プロフ) - こだぬきさん» そうなんですね!なんだか堕姫ちゃんらしい・・・ (2022年12月29日 16時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - たまき@元夕和さん» 一度匂い試してみた事あったんですけど、可愛い様な色っぽい様なそんな感じの匂いでしたよ。 (2022年12月28日 21時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
たまき@元夕和(プロフ) - こだぬきさん» はじめまして!いつもありがとうございます。そうですね、人間時代はできませんでしたからね・・・。めっちゃわかりますそれ!! (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
たまき@元夕和(プロフ) - 零さん» わかりました、ありがとうございます! (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく読ませて頂いてます!私個人としては千花ちゃんも鬼になって姉妹仲良く暮らして欲しいなと思ってます。後堕姫ちゃんといえばイメージ香水あるんですよ〜。 (2022年12月28日 19時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たまき | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年7月19日 6時

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