痛い ページ11
痛い。
腕が痛い。
血が出ている。
どうしよう。痛い。
ねえ、千花。
私、自分の意思で、あんたを守れたよ。
母「大丈夫!?」
父「怪我はないか」
父ちゃんと母ちゃんが走ってくる音が聞こえる。
褒めてくれるかどうかは分からないけど、私、千花をちゃんと守った。
これでちょっとだけ、認めてくれるかな。
千花「父ちゃん、母ちゃん!どうしよう姉ちゃんが怪我しちゃった!」
母「あんたはどうなの」
千花「姉ちゃんが庇ってくれたから打撲で済んだよ。それより姉ちゃんが・・・血がいっぱい出てる!」
千花。私、ほんとはあんたのこと嫌いじゃなかったのかもしれないね。
千花もきっとそうなんでしょ?じゃなければ、こうやって私の怪我のことを両親に訴えたりしてくれない。
父「Aがお前を庇ったのか?」
千花「そうだよ。早く姉ちゃんを助けてあげて!」
ありがとね、千花。
大人たちの言うように、あんたはいい子だ。
母「でも、あんたも腕を打ったんでしょ」
千花「そうだけど痛くないもん。だから姉ちゃんを・・・」
母「関係ないよ!嫁入り前の大事な身体なのに怪我させるなんてほんとにAって子は!!」
・・・え?
なんで?
守ったのに。
私がいなければ、千花に鋏が刺さってたのに。
千花「何言ってるの母ちゃん!?」
父「やっと姉らしく守ったと思ったが守りきれていないだろう!?いいか、守るというのは、相手を無傷で済ますということなんだ!!」
そっか。
そうなんだね。
父ちゃんも母ちゃんも、私のことを娘としては見てないんだ。
はは、と乾いた笑いが口から漏れる。
A『じゃ、出ていくよ。私はいなくても変わらないでしょ?』
母「勝手にしなさい」
父「妹を守れない奴が千花の姉をするな!」
あはは。
おかしいなぁ。
私、こんな人達のために頑張ってたのか。
馬鹿みたい。
屑のお手本みたいな人達に働かされて、疲れ切っては布団に倒れて眠って。
意味のない人生だったよ。
千花「姉ちゃん!嫌だ、姉ちゃん!」
千花が叫ぶ。
私を産んだ二人は大嫌いだけど、あんただけはちょっとだけ好きだったかも。
千花「こんなのおかしいよ!姉ちゃん、待って!行かないで!」
私はおぼつかない足取りで家を出た。
腕が痛い。
ごめんね、千花。
もうここにはいられない。
ああ、痛いな。
思ったより傷、深かったのかな?
腕の、
そして心の傷が。
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たまき@元夕和(プロフ) - こだぬきさん» そうなんですね!なんだか堕姫ちゃんらしい・・・ (2022年12月29日 16時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - たまき@元夕和さん» 一度匂い試してみた事あったんですけど、可愛い様な色っぽい様なそんな感じの匂いでしたよ。 (2022年12月28日 21時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
たまき@元夕和(プロフ) - こだぬきさん» はじめまして!いつもありがとうございます。そうですね、人間時代はできませんでしたからね・・・。めっちゃわかりますそれ!! (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
たまき@元夕和(プロフ) - 零さん» わかりました、ありがとうございます! (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく読ませて頂いてます!私個人としては千花ちゃんも鬼になって姉妹仲良く暮らして欲しいなと思ってます。後堕姫ちゃんといえばイメージ香水あるんですよ〜。 (2022年12月28日 19時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
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