笑顔 ページ9
A『何言ってんのよあんた・・・恋雪』
今聞いたことが嘘であることを願いながら、私は恐る恐る言った。
恋雪「だって私は病気なんです。一緒に行くのは難しいから、私の代わりに行ってきて」
恋雪はにこりと微笑んだ。
その笑顔は誰よりも綺麗なのに、なぜか消えて無くなりそうで、私は唇を噛む。
A『・・・あのさ』
しばしの静寂の後、私は絞り出すようにして口にした。
A『誰があんたのことを迷惑だなんて言ったの?もしもあたしたちが迷惑がっていたとしたら、こうやって一緒に話すこともない』
私の言葉に、無言のまま狛治が頷く。
それを目の隅で確認しながら、私は言葉を続けた。
A『あたしはあんたと一緒にいたいからいるんだし、それ以上でも以下でもない。多分狛治もそうでしょ?なのにあんたはそうやって自分を下げて・・・それ、あんたの悪いところだよ。
あんたさ、自分の年齢分かってる?たった九歳だよ?たった九歳なのにこうやって床に伏せて、あんただって辛いでしょ。我儘言ったらいいじゃない!
外に行きたい、遊びたい、甘味処にもたくさん行きたい、花見にだって行きたい、そう思わないわけがない。なんで我慢するの?我儘言われたって私はいいの、もっと自分が言いたいように言いなさいよ!』
私はまくし立てるように言った。
恋雪は、暫く魂を抜かれたような表情をしていたが、やがてその目に涙が浮かんだ。
A『え!?泣い・・・えぇ!?ごめん!泣かせるつもりじゃ・・・っ』
恋雪「ううん、違うの。違うんです・・・」
慌てふためく私を落ち着かせるかのような口調で、恋雪はゆっくりと言う。
恋雪「そんなふうに言ってくれるなんて・・・嬉しくて」
赤く腫れた目で恋雪が微笑んだ。
その表情は、数分前とは打って変わり、晴れやかだった。
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あ - 最後の方の夢主が狛治を𠮟るシーンでめちゃくちゃ泣きました…(褒めてます) この時代の時間軸ってあまりみないから面白かったです! すてきな作品をありがとうございました。 (6月27日 1時) (レス) @page49 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - りのくさん» りのくさん!?びっくりした!!wりのくさんも占ツク活動されてるんですね、今から見に行きます! そんなふうに思ってくださったなんて感激です・・・ありがとうございます!(今後も投稿頑張ろ) (2022年7月13日 15時) (レス) id: a3bd8e7281 (このIDを非表示/違反報告)
りのく(プロフ) - これからも湊さんご自身のペースで、私生活も作品作りも無理なく頑張られてくださいませ。長文、失礼いたしました。(*ᴗˬᴗ)⁾⁾ (2022年7月13日 15時) (レス) id: 6dc8803727 (このIDを非表示/違反報告)
りのく(プロフ) - そして最後、地獄で罪を償い終えて現世に戻ってこれた時には嬉しさでいっぱいになりました!本当に良いお話でした、私も作品を執筆してますが、こんなにきっちりまとまった作品を仕上げられる湊さんを本当に尊敬します……!すっごく良かったです! (2022年7月13日 15時) (レス) id: 6dc8803727 (このIDを非表示/違反報告)
りのく(プロフ) - 狛治さんの悲惨な運命と、しでかしてしまう所業の数々がつらくて切なくて、結末を知っててもどうなるかハラハラが止まりませんでした。苦しい戦いのさなか、炭治郎も恋雪さんも夢主ちゃんも、本当に頑張ってくれました……! (2022年7月13日 15時) (レス) id: 6dc8803727 (このIDを非表示/違反報告)
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