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幻聴 ページ26

『待ってるから、────』


どこかで聞こえた気がした、女の声。


聞こえたというよりは、耳の奥で響いたといったほうが正しいだろうか。


俺は人を喰うのを中断し、耳に手を当てる。


しかし、もうその声は聞こえなかった。


『お前はたった今から「猗窩座」、私のために精々這いずり回ることだな』


次に響いてきたのは、先程消えてしまった無惨様の声。


こちらは、自分の脳が勝手に反芻しただけの声だ。


”今の”俺は猗窩座。


でも、その前、俺が人間だったころの名前はどうしても思い出せない。


名前だけではない、その他の何もかもまでもだ。


俺はつい先程まで何をし、何を思い、何を口にしていたのだろう?


ただ一つだけ、分かることがある。


「女を喰ってはいけない」


本能的に、男より女のほうが栄養があること、早く強くなれることは分かる。


当然といえば当然だ。女は自分の体内で赤ん坊をつくることができるのだから。


それでも、どうしても女を喰う気になれないのは、きっと人間時代の俺が関係しているはずだ。


先程聞こえた声の持ち主だけではない、もっと大事な誰か。


俺は強くなりたい。


簡潔に無惨様に説明された「十二鬼月」に、さらに言えば「上弦」にのし上がりたい。


でも、そのために女を喰うことは絶対にしない。


それがせめてもの「彼女」への償いだ。














────────償い?


何に対しての償いだ?


俺は今、何を思っていた?


忘れてしまった、何もかも。


でも、やっぱり女を喰うのはやめておこう。


俺の中にいる何かがそう言っていた。


その声に頷き返し、俺はたった今殺した男を喰いちぎる。

無限列車→←来たるその日まで



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設定タグ:鬼滅の刃 , 伯治 , 猗窩座   
作品ジャンル:アニメ
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- 最後の方の夢主が狛治を𠮟るシーンでめちゃくちゃ泣きました…(褒めてます) この時代の時間軸ってあまりみないから面白かったです! すてきな作品をありがとうございました。 (6月27日 1時) (レス) @page49 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - りのくさん» りのくさん!?びっくりした!!wりのくさんも占ツク活動されてるんですね、今から見に行きます!  そんなふうに思ってくださったなんて感激です・・・ありがとうございます!(今後も投稿頑張ろ) (2022年7月13日 15時) (レス) id: a3bd8e7281 (このIDを非表示/違反報告)
りのく(プロフ) - これからも湊さんご自身のペースで、私生活も作品作りも無理なく頑張られてくださいませ。長文、失礼いたしました。(*ᴗˬᴗ)⁾⁾ (2022年7月13日 15時) (レス) id: 6dc8803727 (このIDを非表示/違反報告)
りのく(プロフ) - そして最後、地獄で罪を償い終えて現世に戻ってこれた時には嬉しさでいっぱいになりました!本当に良いお話でした、私も作品を執筆してますが、こんなにきっちりまとまった作品を仕上げられる湊さんを本当に尊敬します……!すっごく良かったです! (2022年7月13日 15時) (レス) id: 6dc8803727 (このIDを非表示/違反報告)
りのく(プロフ) - 狛治さんの悲惨な運命と、しでかしてしまう所業の数々がつらくて切なくて、結末を知っててもどうなるかハラハラが止まりませんでした。苦しい戦いのさなか、炭治郎も恋雪さんも夢主ちゃんも、本当に頑張ってくれました……! (2022年7月13日 15時) (レス) id: 6dc8803727 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年12月16日 12時

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