彼女の正体が何であれ【鬼滅の刃】【遊郭編】

これは偶然？ ページ10

善子ちゃんが京極屋に入ってから数日が経った。


恐らく善子ちゃんを連れてきた”色男”を見返すために必死になっているのだろう、まだお座敷には出ていないがかなり評判が良くなってきている。


勿論それは凄いことだし、私も善子ちゃんを応援したいと思っている。


でも、素直に応援できない理由があった。


A(最近不可解な出来事が多発してるからな・・・)


善子ちゃんが入ってくる二日前くらいに、お三津さんが亡くなった。


落下死だった。


私は、お三津さんが落ちてくる瞬間を見ていたのだ。


一瞬だったけど、お三津さんの顔は恐怖で引き攣っていたように見えた。


それに、どう考えても店の屋根から落ちてきたのを遥かに上回る衝撃があったのを覚えている。


絶対これは自害じゃないのに、誰もが自害だと言って解決してしまったので、私はとにかく不満だった。


それから妙なことが起こり始めた。


遊女がどんどん消えているのだ。


今までも遊女がいなくなることは度々あり、その殆どが足抜けだった。


でも、いなくなる人数が半端じゃない。


京極屋の蕨姫には劣ってもやはり吉原で話題の花魁がいる”ときと屋”や”荻本屋”でも、あっという間にのし上がった遊女が一人ずつ行方不明になっている。


ここ、京極屋にも一人同じようにのし上がった遊女・・・雛鶴さんがいなくなっていた。


そう、丁度善子ちゃんが入ってきた時前後からこの不可解な現象は続いているのだ。


こんなことは思いたくないけれど・・・善子ちゃんが何か絡んでいるのではないか。


愚かなことだとは分かっていたが、善子ちゃんを疑わずにはいられなかった。






そんなある夜、私はふと目を覚ました。


明日の朝は早いからすぐに寝なければと思ったのだが、どうやっても寝付くことができない。


仕方なく私は、暫く外の風に当たることにした。



数分後。


そろそろ布団に戻ろうと、私は廊下を歩いていた。


私の部屋へ戻るには必然的に善子ちゃんの部屋の前を通らなければならない。


善子ちゃんはどんな顔で寝るのかなどと考えながら善子ちゃんの部屋に近づいた時、部屋から話し声が聞こえてきた。


いけないことだとは分かっていたけれどどうしても抑えられず、私は会話を盗み聞きしてしまった。



”・・・だよな”

”チュンチュン”

”それに俺、Aちゃんまで騙していると思うと辛くて”

”チュン・・・”




”俺”？”騙す”？どういうこと・・・？

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