怪我の治癒 ページ24
血飛沫が舞う。
頸は無事らしいが、千花は左の肩から足の付け根をばっさりと斬られていた。
半身を斬られるのは避けられたようだが、それでもかなり深い傷なのには変わりない。
身体の一部を欠損している状態で戦っても自分で自分の首を絞めるだけだと判断したのだろう。千花はすぐさまその場から退く。
私も急いで千花の援護に回った。
私達は、堕姫さんや妓夫太郎さんとは違って両方の頸を斬らなければ死なないなどという工夫はしていない。
もし千花の頸が斬られれば千花は死ぬし、私にはなんの影響もない。その逆も然りだ。
だから、今ここで千花の頸を斬らせるわけにはいかないのだ。
千花は未だ相手の攻撃を受け流しながら逃げ回っている。
私は、ふと違和感を覚えた。
流石に傷の治りが遅すぎやしないだろうか?
あの程度の傷ならば、普通はそろそろ完治するはずだ。
しかし、今の千花の傷はほとんど治されていない。
何故だ?私は思考を巡らせる。
あの鬼狩りが、何か小細工でもしたのだろうか?
そうでなければ、鬼になりたてでない限り治らないわけがない。
とにかく今は鬼狩りの意識を私に向けて、千花に回復の時間を確保してもらわなければ。
そう思った私は、身体一つで鬼狩りに突っ込んだ。
しかし、軽くいなされてしまう。
当然だ。今千花を殺っておけば敵が一人減るのだから、鬼狩りとしてはまず千花を殺したいものである。
いつの間にか、周囲にところどころ千花の血が付着していた。
かなり出血量が多い。このままでは、千花が動けなくなってしまう。
私は焦った。
千花が死ねば、私一人でこの鬼狩りを倒すことは難しいかもしれない。
だから、今ここで千花が死ぬことだけは、絶対に避けなければ。
しかし、この私の焦りを鬼狩りに悟られてしまっていたらしい。
千花ばかりを攻撃していた鬼狩りが、突如私に刃を向けた。
戦いにおいて思い込みは禁物のはずなのに、千花の援護をしていた私には防御が不十分だった。
【水の呼吸 陸の型 ねじれ渦】
強い一太刀を浴びせられ、なんとか受け止めた私はそれでも飛ばされてしまった。
受け身に失敗し、強く背中を打ち付ける。
鈍い音がした。
折れた背骨を急いで治しながら、私は千花の方を見る。
鬼狩りは技を繰り出す体制になっている。その視線は、千花の頸にまっすぐ向けられていた。
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緋月 - たまきさん» うまかった!(^^) (2023年2月21日 13時) (レス) id: eec4e6d19c (このIDを非表示/違反報告)
たまき(プロフ) - 緋月さん» あねwwならよかった (2023年2月21日 12時) (レス) id: 10bfc6b38c (このIDを非表示/違反報告)
緋月 - たまきさん» まぁ、2つ食べれたからよかったんだけどねw (2023年2月21日 8時) (レス) id: eec4e6d19c (このIDを非表示/違反報告)
たまき(プロフ) - 緋月さん» 忘れるな!?当日に忘れるな!!w (2023年2月21日 7時) (レス) id: 10bfc6b38c (このIDを非表示/違反報告)
緋月 - たまきさん» ありがとう!🐜ケーキは今朝食べた。昨日は忘れてたらしい (2023年2月20日 15時) (レス) id: eec4e6d19c (このIDを非表示/違反報告)
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