守られた命 ページ9
もう一人の当事者である鋼鐵塚さんは、さっきから鉄穴森さんの後ろで拗ねていた。
いや、子供か。
A『鉄穴森さん、みたらし団子持ってません?』
鉄穴森「私ですか?今は持ってませんね・・・」
A『・・・ですよね』
まあしょうがないだろう。
普通に考えて、みたらし団子を常備している人間なんていない。鋼鐵塚さんですらそうではないのだから。
鋼鐵塚さんの場合、持っていれば全て食べてしまうからだろうが。
A『鋼鐵塚さんもいい加減機嫌直してくださいよ』
鋼鐵塚「あの餓鬼・・・末代まで呪ってやる・・・」
微妙に会話が噛み合っていない。違和感がすごい。
A『折られて悔しいのは分かりますけどね、彼はあなたの刀を使ったんです。どういうことか分かりますか』
鋼鐵塚「ぶっ殺してやる・・・」
だから、人の話を聞け。
言いたくなったが、今私が声を荒らげてしまえば人一人が死ぬか大怪我を負うくらいの被害が出る。
私は自分を抑えつつ、言葉を続けた。
A『あなたが打った刀が、少年の命を救ったんですよ。それは刀鍛冶として名誉なことなんじゃないですか?』
鋼鐵塚「・・・」
お、黙った。
ぶすっとした表情は変わっていないが、少しは機嫌がよくなったはずだ。
鉄穴森さんが、ありがとうと目で言う。
そんな二人を見て、私は笑った。
A『それに、私は鋼鐵塚さんの打った刀好きですよ。もちろん鉄穴森さんのも。なんというか、刀鍛冶としての誇りが詰まっている感じがするんです』
鉄穴森「Aさん・・・」
A『鉄穴森さんの担当してる人がどう思ってるかは知りませんが、いずれにせよ鉄穴森さんの刀が今も言ったように彼の命を守り救っているのは事実ですよね』
鉄穴森さんが、今度は声に出してありがとうと言った。
続いて頭を下げる。
鉄穴森『Aさんは本当に心が綺麗ですね。・・・怒った自分が恥ずかしいですが、そうですね、わざと刃こぼれさせていたとしても命を守る刀は、私、ちゃんと作れたんですね』
鉄穴森さんの声には、心からの感謝がこもっていた。
私は何もしてないですよ、と謙遜しながら私は再度鋼鐵塚さんを見る。
彼の空気が、先程より柔らかくなっていた。
そんな彼らを見て、ふと思う。
私がもっと前からこんなことを言える人間であれば、未来はもっと違ったんじゃないか、と。
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たまき(プロフ) - 緋月さん» おおお!私がそっちのこみゅいくわ (2023年2月22日 9時) (レス) id: 10bfc6b38c (このIDを非表示/違反報告)
緋月(プロフ) - たまきさん» ログインしたで。こみゅってどうやるの? (2023年2月22日 7時) (レス) id: eec4e6d19c (このIDを非表示/違反報告)
たまき(プロフ) - wwありがとwここから飛んでみたら詳しく書いてある!▷▷ https://uranai.nosv.org/u.php/hp/aisu0821/ (2023年2月21日 15時) (レス) id: 10bfc6b38c (このIDを非表示/違反報告)
緋月 - たまきさん» うへへぇーん(泣)たまきが優しいー。ログインってどうやるの? (2023年2月21日 14時) (レス) id: eec4e6d19c (このIDを非表示/違反報告)
たまき(プロフ) - 緋月さん» ww大丈夫だよwwひづきがログインしたらこみゅとかで話せるんだけどねえ・・・ (2023年2月21日 13時) (レス) id: 10bfc6b38c (このIDを非表示/違反報告)
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