帰還 ページ7
それから一週間程が経った。
あの後、鋼鐵塚さんに同伴する刀鍛冶は鉄穴森さんだと聞いた私は、彼に頭を下げてどうにか鋼鐵塚さんの暴挙を止めるようお願いした。
鉄穴森さんは温厚で愛妻家のいい人だ。
今回の私のお願いにも、笑顔で応じてくれた。
今日は鋼鐵塚さん達が帰ってくる予定の日。さて、鋼鐵塚さんは今回はどんな武勇伝を生み出したのだろうか?
小鉄「そろそろだね」
いつの間にか隣に来ていた小鉄くんが行った。
A『鋼鐵塚さん達?』
小鉄「はい。あの人のことだから、どうせまた何かやらかしたんだろうな」
A『多分そうだね』
小鉄くんはませた口調で言い、やれやれと首を振った。
遠くに人影が見えた気がして、私達は揃って身を乗り出す。
見間違いではない。あれは、鋼鐵塚さんと鉄穴森さんだ。
小鉄「帰ってきた!おかえりなさい、鋼鐵塚さん、鉄穴森さん!」
先程まで我が子の所業に呆れる親のような顔をしていた小鉄くんが、打って変わって子供らしい様子で手を振った。
A『おかえりなさい!』
私もそれにならって手を振る。
でも、私はすぐにその手を止めた。
A『なんか、様子おかしくない?』
小鉄「・・・確かに・・・?」
鋼鐵塚さんの方はいつもどおりだ。手を振り返してはくれないが、それが彼にとっての普通である。というか、振り返されたら逆に怖い。
つまり、いつもと違うのは鉄穴森さんの方。
優しい彼ならば手を振り返してくれそうなものなのに・・・その気配が全くない。
小鉄「あれ?鉄穴森さん、なんか喋ってます?」
小鉄くんがふといい、私も耳を澄ませた。
鉄穴森「ないわー。ほんとないわーあの猪・・・わざと刃こぼれさせるとか、ないわーー」
・・・。
どうやらご立腹らしい。しかもかなりすごい理由で。
小鉄「どうしたんですか?」
近づいてきた鉄穴森さんに向かって、怖いもの知らずな小鉄くんが尋ねる。
普段の彼ならば「ああ、小鉄くんでしたか。大丈夫ですよ」などと言いそうなものだが、今回ばかりは違ったようだ。
鉄穴森「私が今回刀を打った隊士なんですけどね、私の目の前で打ったばかりの刀を刃こぼれさせたんですよ」
A『えっ!?一体何が・・・』
鉄穴森「私も知りませんよ。突然庭の石で刀を叩き出すんだから」
A『・・・』
どうやら、鋼鐵塚さんの担当している隊士はともかく、鉄穴森さんの方は相当な強者のようだ。
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たまき(プロフ) - 緋月さん» おおお!私がそっちのこみゅいくわ (2023年2月22日 9時) (レス) id: 10bfc6b38c (このIDを非表示/違反報告)
緋月(プロフ) - たまきさん» ログインしたで。こみゅってどうやるの? (2023年2月22日 7時) (レス) id: eec4e6d19c (このIDを非表示/違反報告)
たまき(プロフ) - wwありがとwここから飛んでみたら詳しく書いてある!▷▷ https://uranai.nosv.org/u.php/hp/aisu0821/ (2023年2月21日 15時) (レス) id: 10bfc6b38c (このIDを非表示/違反報告)
緋月 - たまきさん» うへへぇーん(泣)たまきが優しいー。ログインってどうやるの? (2023年2月21日 14時) (レス) id: eec4e6d19c (このIDを非表示/違反報告)
たまき(プロフ) - 緋月さん» ww大丈夫だよwwひづきがログインしたらこみゅとかで話せるんだけどねえ・・・ (2023年2月21日 13時) (レス) id: 10bfc6b38c (このIDを非表示/違反報告)
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