努力の天才 ― 3 ― 【ハイキュー！！】【男主】 (ページ28)

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予感、ではなくてページ28

大学3年生の春、

「おめでとう」

祝福の拍手が壇上の僕に降って鳴り止まない。

涙をこらえるのに必死で、たかるテレビレポーターの声は全く聞こえない。

「宇都見さん？」

若い女性レポーターに首をかしげられる。

「あ、はい．．．すみません、何の話ですか．．．？」

僕の質問に眉間にシワを寄せつつも「この作品に込めた想いを教えてください」と再度質問してくれた。

「あ、これは、僕の高校生時代の全てを詰め込みました」

「高校生時代．．．となると、この人物は宇都見さんご自身なんでしょうか？なにやら頭を抱えていますが．．．」

レポーターが絵の、
若葉に囲まれた一人の青年を指す。

「いえ。これにはモデルがいるんです。」

不思議とさらさらでてくる言葉に自分で驚いてしまった。

「Aちゃん」

振り返ると皆が笑ってそこにいた。

「すごいな、海外の賞だって？」

花巻さんと松川さんはあの時と同じように肩にウデを回して。

「はい、お祝い」

「おめでとな！」

金田一と国見はイチゴ大福をチラつかせて。

「良かったな」

「おめでとう。一躍、有名人だ」

「．．．」

矢巾さんと渡さん、京谷さんは僕の頭をこれでもかと撫でまわして。

「わ、Aちゃん、泣いてるの～？」

「おう、泣け、泣け」

岩泉さんと及川さんはこっちの気も知らず笑ってて。

僕はあの時のように泣きじゃくって。

努力は必ず報われる

って言葉にすれば簡単だけど

辛くて、

苦くて、

理不尽で、

でも、

たまにはそう言うのもいいかなって

思ったんだ

「ほら、彼女さんがお待ちかねなんじゃない？」