【APH】オーダーメイド【短編集】

26冊目　ソラさんより（菊） ページ26

格子の向こう側には。
どれだけ自由な空が広がっているのだろうか。
もし、その場所に立てるのならば、
私はどれだけ自由になることが出来るのだろうか。


夜店ではいつもの賑わいを見せていた。。


世に言う吉原。


私は値段も手の届く範囲からか、
私のお客には色んな身分の人がいる。


その中でも珍しいのが、国。


祖国が夜店で花街遊びか。
可笑しな話だけど、祖国は、
私の時間を、ほんの少しばかり買った。


優し気なその笑みに、
見惚れてしまったのは秘密。


「…名前を教えて貰えますか？」


「名前…ですか？」


不思議なことに、祖国には名前が無いという。
国とはそういう物なのか、不思議に思ったが、
名前が無いと、付き合っていく以上不便だった。


「それなら、Aさんが決めてください」


吉原で、名前というのは、大事なもので、
自分の本名を教えるという事は、
相手に心を捧げるという意味に値する。


生まれたころから吉原に住んでいる私に、
名前なんて元からないが。


「菊、という名はどうですか？」


「菊ですか、花の名ですね。
確か、花言葉は高貴、高潔、高尚」


「菊さんにぴったり…」


「赤い菊の花言葉が、
貴方を愛しています…―――」


「遊女の口説き文句みたいです…」


ふふ、と小さく笑えば、
菊さんは俯いた。


「……その笑顔が私を惑わせる」


「え…？」


布団の上に押し倒されて、帯を解かれる。
あまりに早い動きだったので、一瞬、思考が停止した。


「やっ…、菊さん…！」


「でも…」


苦々しそうな顔、今にも泣きそうなその瞳。
小刻みに震える手、結ばれたその口。


「貴方が他の人に抱かれてると思えば、
これ以上耐えられそうにない…」


切なげなその顔に、したから見上げられると、
情を移してしまいそうになる。
これ以上の深入りは許されない。
そう、分かってはいる……のに。


「国、という身分上、
私が遊女を娶るわけにもいきません」


だから、私と菊さんが結ばれることはない。


菊さんは遠回しにそう言った。


「生まれ変わったら、結ばれますように。
そう願いを込めて、貴方に名前を送ります。
Aさん、貴方と幸せになれます様に…」


口約束が果たされるその日まで。
―――
ソラさんより
私の趣味まるだし…。
菊さんリクエストだけだったので、
自由に書かせて頂きました。
激甘になってない…？！
たしか、私が中１の時、
自由に書いてたヘタリアの小説第一号ｗ

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