【06】 ページ45
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羨ましかった？俺が？
違うだろ？俺がお前を羨ましかったんだよ。
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Aの隣を平気な顔して奪い去っていったお前が
同い年というブランドを持っているお前が
俺は大嫌いで、羨ましかったんだ。
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平気なふり、散々した。
大人の威厳を保ち続けるために、平気なふりばっかりした。
でもそれが自分の首を絞めていくことに気づいて、苦しんだ夜もあった。
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人に優しくできないってお前は言った。
違うだろ。
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和也「幸せになってください」
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違うだろう。
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和也「幸せにしてやってください」
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お前はさ。
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和也「菜月」
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菜月が泣きながら笑って、席から立って、二宮の隣に立つ。
二人は目を見合わせて、笑って。
せーの、と相槌をして。
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俺の方をビシ！と指差して
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和也・菜月「泣かせたらぶっ殺すかんな！」
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…と。
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ーーーーー…潤『Aのこと泣かせたらぶっ殺すかんな！』
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どこかで聞いたことがあるフレーズを叫んで、頭を下げた。
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思い切り俺も頭を下げた。
パチパチ…！と拍手が会場に響き渡って、俺はしばらく頭をあげなかった。
…いや、あげられなかった。
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泣く姿なんて、かっこ悪い。
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違うだろ。違うだろう？
お前は優しいんだよ。やさしさを全面に出せない奴なんだ。
やさしさをうまく相手に伝えられないだけなんだ。
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愛情がないわけじゃない。誰より愛情があるやつだ。
じゃなきゃAが惚れるわけがない。
そうだろう。
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愛情がない奴は
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和也「ありがとうございました！」
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泣かねぇよ。
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初めて見た、二宮の俺のために泣いた顔は変わらずイケメンでちょっとムカついた。
今までに見たことがない笑顔で俺を見て来やがって
そのまま拍手に包まれて席に戻ると、大泣きしてるAに抱きしめられて……なんだよ、もう。
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葉月「……いい教え子さんね」
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優しくそう囁いてくれた葉月に、「ああ」と返して
拭っても拭っても溢れる涙を、また、拭った。
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