【03】 ページ20
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*『大野！この資料どこやった！？』
＊『大野さん、取引先からお電話です、内線繋ぎます！』
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日常はあまりにも忙しなく、そして慌ただしかった。
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毎日毎日ペコペコと頭を下げて、必死に働く。
暗い部屋に帰っては、帰りに寄ったコンビニで買った弁当を機械的にもぐもぐと腹の中にためる。
風呂に入って、布団に潜って眠りに就く。
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そしてまた朝が来て、あの忙しない日常へと戻っていく。
そりゃ、心は荒んでいくわな。
めんどくせぇなぁ、指図されたくねぇなぁ、お昼寝したいなぁ。
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そろそろ、限界だなって時は。
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『大野さん！また来てくれたんですか』
智『おいよ。土産』
『わあーーーー！東京ばななだーーーー！チヨさんのお家のテレビで見たことあるー！』
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俺はローカル電車に揺られて、Aがいる町にリフレッシュに来ることにした。
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来るたびに町の人たちと顔なじみになっていくのも面白いし
何よりAちゃんと距離を縮めていくのが、俺の心をしぼめていった。
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智『そういや、Aちゃんっていくつ？』
『私ですか？ハタチって若いんですか？』
智『わけぇよ。え、ハタチなの？』
『ハタチです』
智『うげ、超年下じゃねーか。大学生？…って学校ここら辺ねえか』
『チヨさんの農家のお手伝いしてます』
智『ほー、そりゃ毎日平和で』
『あとは、町の皆さんを見守っております！』
智『警察官？』
『警察官は駅前のマサオおじちゃんです』
智『ああ、あの松岡修造似のね』
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ふわふわ。ええ子やな、と頭を撫でると嬉しそうに微笑んでくれるのがたまらなく愛おしい。
ーーー…ああ、これ厄介かもしんねぇな。
そう思った時には手遅れだということを、人生二十何年もやっていればもう分かってる。
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これは恋だ。多分、恋。
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帰りの電車で告白もしてないくせに色々悩んだ。
もし結婚とかになったら、俺があの町に行くのかな。そうだよな、Aちゃんをなんとなく、都会に連れて来たくはない。
ーーーー…なんとなく、だけど。汚れてしまうんじゃないかっていう俺の危惧。
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智『…告白もしてねぇのに(笑)』
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ぼそり、と呟いた言葉。
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