【03】 ページ4
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小さかった俺は、平均身長より高くなり。
見事、前ならえでも後ろの方に立つことになった。
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少しでもAに釣り合うように。Aが俺に恋愛感情を少しでも持ってくれるように。
俺は頑張った。血が滲むような努力をした。
すると中学二年の秋。男女ともにモテるようになり
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容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群、次期生徒会長候補というこれまたマンガのような展開を手に入れることができていた。
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…だけど。
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中学二年、雪が降る冬の帰り道。
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翔『…、A！』
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マフラーをぐるぐるに巻いて、少し前を歩いていたAの後ろ姿を思い切って呼び止める。
すると赤いマフラーを巻いていたAが、くるりとこちらを振り向いて大きな瞳をパチパチと。
この頃、俺と彼女は昔のように遊んだり、帰ったりしなくなった。
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そうである、マンガのような「隣の幼馴染と実は両想い、もう二人は結婚約束♡」みたいな展開は
俺には降りかかっては来なかったのだ。
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『翔ちゃん』
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そんな滅多に話さないし、クラスだって小学四年以来同じになったことはない。
ベランダを伝うとかそんなマンガ的展開もないし登下校だって時間は違う。
久しぶりに聞いた「翔ちゃん」は、俺の胸をくすぐるのに十分すぎる要素。
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『今帰り？』
翔『そう。Aもでしょ？』
『そう』
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なんとなーく、そんな期待なんかしてませんよー、的な顔で横に並ぶ。
Aは何も気にしてない様子で歩き出す。…よし、一緒に帰れる！よっしゃ！今日はなんていい日！
内心ガッツポーズして、この頃まだ肩にかかる程度だった少し茶色い髪の毛を見つめる。
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これは櫻井、チャンスなのでは？
泣き虫翔でもない、金魚のフンでもない、もう櫻井翔！と化した俺をアピールするチャンスなのでは？
ここは男らしさをアピールするべき！うん！と口を開こうとした瞬間。
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『あ、翔ちゃん。お願いがあるんだけど』
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おっと？
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翔『何？なんでも聞くよ』
『私の友達がね、翔ちゃんが好きなんだけど。今度遊びに行ってあげてくれない？』
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ジーザス。サヨナラ、俺のガラスのハート(エコー)。
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