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右手を引っ張られる感覚。
自分でも驚くくらい高くか細い声を上げ、さっきまで座っていた席へと戻される。

「いたっ…」
「…お前を泣かせたくない。だから言う。

好きだ。A」
「…ぁ」

喉が焼けたみたいに言葉が出てこない。
目が飛び出そう。
そんな私を理解してるみたいに優しく笑いながら、ロヴィは話を続ける。

「お前が俺の前で泣かなくなったのは、Aのお袋が亡くなった時からだ」
「そ、の話は今」
「今しなきゃなんねぇからすんだろ」
「お前は俺に心配かけまいと、迷惑かけまいと、違う奴に縋ってまで、涙を隠した。違うか」
「…」

黙りこくった私を見て、それを肯定と受け取ったのか、勝手に話し始めるロヴィ。
右手を痛いくらいに掴んでいた手を頬に伸ばしてきた。
かさついた手が少しくすぐったい。

「なぁ、俺はな。お前の涙を拭いてぇんだよ。傍に居てぇんだよ。それなのに、それなのに…なんで勝手に決めつけて、勝手にどこか行くんだよ」
「…っ」
「なんて言ったら俺の言葉、信じてくれるんだ?
愛してる?I love you?Je t'aime?それとも俺の母国語でTi Amo?なぁ、angel教えてくれよ」
「誰が天使だ薄ら寒いこと言わないでよ!
…えっと、ですね。それ、本当ですか?」
「本当ですけど」
「嘘じゃないですか?」
「嘘じゃねぇですけど」
「信じてもいいんですか?」
「いいに決まってるだろ」

目から目玉じゃなくて涙がこぼれ落ちる。
えぐえぐと泣き声を発し、止まることを知らないとでも言いたげな涙を拭う。
ああ。好きになってもいいんだ。
捨てなくてもいいんだ。
そんな安心感が、私の全身を襲った。

「あ、らためてもう1度言います。
ロヴィ。わた、しは。

貴方が。ロヴィーノ・ヴァルガスが、だい、す、きです」
「…うん」
「傍に居て、涙を拭って欲しいです」
「…いつでも拭ってやるよ」
「笑って欲しいです」
「お前は馬鹿で阿呆だからな。すぐ笑える」
「……愛して、欲しいです」

毛布を握る。
愛してほしい、だなんて随分と我儘を言ってしまった。
自嘲的な笑みがこぼれてきた私を、暖かい体温が包む。
顔を上げると、ハート型に歪んだ茶髪の癖毛が揺れる。

「愛するなんて、当たり前だ」

目が合う。
ふ、と笑い、ロヴィと私の額と鼻頭がぶつかる。

「なぁ、キスしても、いいですか。
…このやろー」
「…もちろんですよ。ちくしょうめ」

なんだそれ、と笑われて、唇が合わさる。

なんだかそれは、とても甘くて、幸せな味がした。

I love youが言いたかった→←Lovino Vargas



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作者名:水道の花子さん。 | 作成日時:2017年2月14日 13時

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