P19 ページ21
繋がれた右手｡
目の前にある華奢だけれどもしっかりとした背中｡
歩くと共に揺れる癖毛｡
───ああ｡私は夢でも見ているのかしら?
○○○○○○○○○
手にある青とﾋﾟﾝｸの花の付いた2匹のｲﾙｶのｷｰﾎﾙﾀﾞｰを見る｡
思い浮かぶのは共に行く予定だった友人の顔｡
「エリーに買っとこっかなー…」
ローデリヒさんとお揃いに出来るし｡
可愛い友人の可愛い笑顔を思い浮かべて口角が上がるのがわかる｡
さぁて買いに行こう!と思いﾚｼﾞに向かおうとした｡
すると手から離れるｷｰﾎﾙﾀﾞｰ｡
あ､と声を出す暇もなく､ｷｰﾎﾙﾀﾞｰを奪った本人が口を開く｡
「誰かに買うのか?」
「ちょ､返してよロヴィ」
必死になってぴょんぴょん飛びながらロヴィの手にあるそれを取ろうとする｡
しかし彼は頭の上にまで掲げ､私に取れないようにした｡
低身長恨む｡
そんな私の様子が気に入らないのか､より一層不機嫌になり､勝手にｷｰﾎﾙﾀﾞｰを元あった場所に戻すロヴィ｡
「何してんのっ」
「…誰かとお揃いにでもするつもりか」
「はぁ?」
「まぁ言わなくても分かるっつーの｡カークランドさんとだろ?」
「なんでｱｲﾂとお揃いにしなきゃなんないのさっ｡お退き遊ばせっ」
とうっ｡なんて巫山戯た節を付けて蹴りを御見舞した｡
私としては軽くやったつもりだけどﾓﾔｼっ子なロヴィにはだいぶﾀﾞﾒｰｼﾞがあったみたいで蹲る｡
いやん怪力って困る｡
「大丈夫…?」
「ﾁｷﾞｰｯ…いてぇぞこのやろぅ…」
「ごめんて…」
そしてなんやかんやあって現在こんなふうにロヴィに手を取られ水族館をぶらぶらしているのである｡
(説明が雑なのは突っ込まないでほしい｡今でも説明すると顔が熱くなって熱が出そうになるんだから)
…それにしても｡
こんな夢みたいなことが､あってもいいのかしら｡
ふっ､と上を見る｡
赤く染まるロヴィの頬｡
多分私も同じくらい真っ赤なんだろう｡
ロヴィを見てると思う｡
ああこれが｡
これが｡
幸せなんだろうって｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 18人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水道の花子さん。 | 作成日時：2017年2月14日 13時
