P11(加筆修正) ページ13
ガヤガヤと賑やかな飲食店。
聞いてもいないことを語る男達。
少し微笑みながらオレンジジュースを飲み干した。
ああ。何だってこんな所に。
…いや、本当は分かっていたんだ。
『お願いカーチェストさん!一緒に合コン行ってくれない?』
『…はぁ?』
『カーチェストさんにしか頼めないの!』
目の前で手を合わせ、私にお願いしてくる少女。
元来ラテンの血を引く私は女の子には滅法弱く(別に全員がそうってわけじゃないだろうけど)どんなお願いでも聞いてしまう悪い癖があった。
…今回はそれが凶と出てしまったみたい。
「でさー…ってAちゃん?聞いてる?」
馴れ馴れしく肩を抱いてくる男。
てめえの股の間にぶら下がってるもの潰してやろうか。(下ネタ)
と言えるわけもなく。
出来るだけ穏やかに肩に乗っている手を落とし、微笑む。
「ごめんなさい。貴方があまりにも素敵な笑顔で笑うから聞きそびれちゃった。…もう一回言ってもらってもいい?」
「ちょ、Aちゃーん!まじ可愛い!!」
下衆な笑いで私を見てくるうちの学校の女子。
私の名探偵コナ〇的な知性が告げる。
この子達はアーサーの事が好き系女子だ。
アーサーのこと好き系女子は長い子で小学校から好きな子もいるらしい(恐ろしい執念よねぇ)。
そんな子達からしたらパッと出の私は邪魔なんでしょうね。
それで竹大男子との合コンを組んだ、と。
まぁ?困ったらアントーニョを呼ぶから大して困ってないんですけどね?!
「あれ?そう言えば、竹大の方はもう1人男の子来るんだよね?」
「え?あー。うん。でもアイツあんま乗り気じゃなかったからなー」
「えー?もー山田君ってばぁ、もっとちゃんとした子呼んでよぉ」
「ごめんごめん」
そう言うやいなやイチャつき始める2人。
…ここでおっぱじめないでよねぇ?と思いながら頬杖を付く。
あーあ。暇暇。
この男の話はつまらない。
自分の自慢話ばかり。自分の話ばかり。自分大好きっ子かよ!!
(ロヴィとか、アーサーとかだったらもっと面白い話するのに)
そう思って、今度はスプライトを喉に流し込んだ。
しゅわしゅわと弾ける炭酸が喉を通る。
…ん?待って。
今私、ロヴィとか、アーサーとかだったらもっと面白い話するのにって思ってた?
いや、ロヴィが出てくるのは当然として、アーサー?いや何で?
何で、そうは思っても私の頭の中には1つの想いが浮かび上がる。
でもその思いは…
深い思考の海に耽っていた私の耳に響く一つの声。
その声は、今考えていたその人。
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作者名:水道の花子さん。 | 作成日時:2017年2月14日 13時