はじまりはじまりことのはじまりすべてのはじまり。 ページ1
「はぁ?人間になるぅ?」
「おう…」
フランス・パリ。
エッフェル塔の近くにあるレストランのテラス席に、二人の男女が居た。
素っ頓狂な声を上げ、手にホットワインを持つ女。
彼女は神の国と謳われる世界最小の独立国家・バチカン市国の化身である。
高く結い上げたチョコレート色の髪は、光をうけきらきらと輝き、長い睫毛に覆われた真紅の目は、これでもかと言わんばかりに見開かれている。
そんな彼女の視線に射抜かれている男。
手にコーヒーを持つ彼は亡国であり、ドイツの前身(つまりはドイツの元になった国だ)・プロイセンの化身である。
男らしい短い髪は、世にも珍しい白銀の髪。瞳の色はこれまた珍しい蒼と赤の混ざり合う不思議な色の持ち主であった。
そう、まるで絵画から出てきたかのような。
そんな彼は、まるで母親に怒られる子供のように体を縮こませ、手持ち無沙汰に手にあるコーヒーカップを弄んでいる。
「色んな文献とか見てみた。そしたらよ、大抵の国は人となって死ぬらしいんだ。…信じられねぇ、よな」
ちらちらとバチカン市国を見つめるプロイセン。
バチカン市国は口に手を当て、何かを考えていた。
時間にして数十秒。
しかし彼らにとっては、永遠に感じられた。
「…いえ。信じられない話ではないよ。なんせ、かのローマ帝国も、そうやって死んでいったのだから」
「イタリアちゃんの爺さんも?お前何でそんなこと知ってるんだよ」
「なんでって、そりゃああんた」
「見届けたからよ」
そう、当たり前のように言った彼女は、ホットワインを飲み干し、立ち上がった。
「そろそろ冷え込む季節になったわね…。私の家に行きましょう。風邪引くわよ。それにこれからする話はこんな場所ですることじゃない。
…ああそう。プロイセン。あなた、消えるってこと、ドイツさんには言ってあるの?」
「…言えるわけねぇだろ。今はまだ、言えねぇ」
「まぁ、そりゃそうよね。でもその判断、間違ってはいない。あの子、何だかんだでまだ若いもの。
とりあえず貴方は一度家に帰って準備をしなさい。話をするのはそれからよ」
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水道の花子さん。(プロフ) - りんごうめぇさん» 返信遅くなってしまいすみません汗ありがとうございます!涙ながらだなんて嬉しいです現在画面の向こうで喜んでおります!今までありがとうございました! (2017年1月23日 6時) (レス) id: 7669f7e486 (このIDを非表示/違反報告)
りんごうめぇ - もう最高です 涙ながら読んでいました (2017年1月22日 23時) (レス) id: bee65c2c62 (このIDを非表示/違反報告)
水道の花子さん。(プロフ) - 薊さん» 返信遅くなってしまってすみません汗ありがとうございます。泣いて下さったなんて…嬉しい!!本当にありがとうございます!!あら、鉄は熱いうちに打て!の方も見て下さっていたんですか?も、本当にありがとうございますです笑薊さんにそう言ってもらえるとやる気120%です (2017年1月22日 17時) (レス) id: 7669f7e486 (このIDを非表示/違反報告)
薊 - 完結おめでとうございます!もう、ほんと涙が止まらなくて…。何も知らない親からすごい目で見られました笑。とても、素晴らしい作品でした!鉄は熱いうちに打て!のほうも頑張ってください!これからも応援しております! (2017年1月22日 13時) (レス) id: 3aaa89a69c (このIDを非表示/違反報告)
水道の花子さん。(プロフ) - 薊さん» いつも更新楽しみにしているだなんて…!!ありがとうございます!!最後の最後まで皆様を驚かせようと現在頑張り中!!良い出来かどうかは別として…、待っていてくださいね!! (2017年1月20日 6時) (レス) id: 7669f7e486 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水道の花子さん。 | 作成日時:2016年11月25日 18時