１３５ ページ47
面会時間終了のアナウンスが流れて睡が帰った後
看護師さんが夕食を持てて来てくれたけど 食欲がなくて 飲み物だけを飲んで後は残してベットに横になった
お風呂は明後日からとのことで 少しべたついてきた髪が鬱陶しいけど仕方がない…
消灯時間になって 暗くなった病室で 痛みを流すように目を閉じて ゆっくりと呼吸をしていると
ふいに頬を風が撫でた
それと同時に感じるのは いつも助けてくれるあの人の匂い…
急なことで 気になって窓を見たら 閉められているカーテンが風で緩くはためいていて
その奥に黒い人影が見えた
ゆっくりと窓を乗り越えて部屋に入って来るその影は 一瞬大きくはためいたカーテンの隙間からその顔が見えた
「… 相澤さん？」
私が声を掛けたらその影は一瞬動きを止める 寝てるとでも思ってたのかな？
「起きてたのか…」
少し気まずそうな相澤さんの声に少し笑える
「寝てると思ってたのに忍び込んで来たんですか？」
クスクスと笑いながら相澤さんを見てると 気まずそうにカーテンの奥から出て来た
相澤さんの手には床頭台に飾られているものと同じ花が握られていた
「寝てる間にも 来てくれてたんですね…
ありがとうございます」
さっと後ろ手に隠された花を見つめて お礼を言っておく
ゆっくりと体を起こしていると やっぱり腹部に痛みが走って 思わず顔を顰めてしまう
「大丈夫か！？」
そんな私を見て 慌てて近づいて来た相澤さんは 背中を支えてくれて 起き上がるのを手伝ってくれた
背中に感じる 相澤さんの手のぬくもりが 温かくて 安心する
「ありがとうございました 助けてくれて…」
相澤さんの目を見つめて 薄く微笑みかけながら お礼を言う
あの時に助けに来てくれた 相澤さんを
あの時に見えた姿に
私は 好きに なりました…
改めて あの時に 再確認しました
そっと そのことを伝えると
相澤さんは 驚いたように目を見開いた後
優しく微笑んでくれた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 156人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくや | 作成日時：2021年8月24日 7時
