105 Haruka side ＊10/11 ページ34
遥香「え、」
『ほら、手。握手しよ』
握手？
なんで？
戸惑いながらも、ニコッて笑う翔くんの手に恐る恐る自分の手を重ねたら、翔くんがぎゅっと握ってきた。
遥香「え、あの、」
『さよならの握手』
遥香「え？」
『このままさよならするのはやだなって思ってさ』
遥香「…うん」
『遥香には感謝しきれないほどしてるんだけど、俺不器用だから言葉じゃ上手く伝えられなくて』
遥香「…っ」
『だから握手にしました』
そう言って、今度は左手を私の手の甲に添えて、両手でぎゅっと包み込むように握りしめてくれた。
『…伝わったかな』
不安そうな声。
手の温もり。
遥香「っ、十分すぎるくらい伝わりました」
私は溢れるほどの想いを込めて、ぎゅっと握り返した。
翔くんのほっとしたような笑顔に、私も自然と笑みが零れて、そこにはさっきとは違う温かい空気が流れてた。
翔くんが帰った後も、私の手にはまだ翔くんの温もりが残ってて。
私の心までじんわり温めてくれた。
翔くんを好きになって良かった。
最後、笑顔で終われて良かった。
後悔は一つもないよ。
一つ挙げなきゃいけないとしたら、翔くんが運転する車の助手席に座れなかったことくらいかな。
“遥香が一番な？”
翔くんはきっとそんな約束覚えてないだろうな。笑
でももういいの。
すごく幸せだったから。
この2年間の想い出は絶対に忘れないよ。
ありがとう。
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作者名：さくらこ | 作成日時：2016年9月19日 21時
