102 Haruka side ページ31
遥香「久しぶり、翔くん」
『おう。来るの遅くなってごめんな』
遥香「ううん、大丈夫だよ」
申し訳なさそうに眉を下げて、玄関に入ってきた翔くん。
いざ会うと、やっぱり好きだなって思っちゃう。
遥香「お、お茶入れるね！」
『あぁ、さんきゅ』
顔を逸らして、キッチンへと逃げた。
カップを２つ出して、紅茶の準備をする。
翔くん、荷物取ってすぐ帰るつもりだったかな。
気持ちを落ち着かせる口実として、お茶入れるなんて言っちゃったけど迷惑だったかな。
少し後悔しながら、カップを乗せたトレイを持って部屋へ行くと、
翔くんは、私がまとめて置いといた荷物を確認していた。
『あ、ありがと』
遥香「うん」
急いでるわけじゃなさそう。
よかった。
『この雑誌、遥香んとこにあったんだ』
遥香「ん？あー翔くんのだよね、それ」
『なくしたと思ってたわ』
遥香「整理してたら出てきたからびっくりしたよ笑」
『ごめん、なんか笑』
遥香「え、いいよいいよ」
呼び名も接し方も何にも変わってなくて。
それもそのうち変わってしまうのかな、と思うと寂しい。
『あのさ、』
遥香「うん」
『Aのことなんだけど』
遥香「…うん」
Aさんのこと。
ほんとはすごい気になってた。
気持ち伝えたのかな、って。
でも、私からは聞かないつもりだった。
告白したらどうなるかは分かってることだし、それを聞くのは辛いから。
けど翔くんから話すことならちゃんと聞かなきゃ。
ドキドキする。
翔くんがふっと息をついた。
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作者名：さくらこ | 作成日時：2016年9月19日 21時
