再会、そして動き出す 3 (ページ29)

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100 Ninomiya side ＊10/8 ページ29

和「はぁ…」

櫻井くんと別れて、次の授業の教室に向かう途中、自然とため息が漏れた。

なにやってんだろ、俺。

立ち去る櫻井くんを何も言わずに見送ることだってできた。

そうすれば、櫻井くんはあのまま山本のことを諦めただろうし、山本は変わらず俺の彼女でい続けただろう。

でも、もし山本が俺と櫻井くんの狭間で苦しんでるのだとしたら？

山本が最近積極的なのは、櫻井くんの気持ちを知って揺らいでる自分を押し殺すためだとしたら？

そんな疑問が頭に浮かんでしまった以上、それを無視して付き合い続けることは俺にはできない。

山本のことが好きだからこそ、これははっきりさせなきゃいけないんだ。

はっきりさせるために俺が出した提案に、櫻井くんは賛成してくれた。

山本はそれを聞いて、どんな反応をするかな。

「二宮くん？」

教室の前で立ち止まってた俺の耳に、弾んだ声が届いた。

振り向いたら、山本が不思議そうな顔で寄ってきた。

「どうしたの、入らないの？」

和「…や、入るよ。ちょっとぼーっとしてた」

「二宮くんがぼーっとするなんて珍しいね」

和「そんなこともないよ」

ふふって笑う山本を見て、胸が痛む。

俺は、俺を好きになれることを信じるって言った山本を信じてるよ。

だから、櫻井くんには勝てないんだ、って弱気になりそうな俺を、

「私はこれからも二宮くんと一緒にいたい」って、

一言でいいから、その一言で勇気付けて。