再会、そして動き出す 3 (ページ27)

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98 Ninomiya side ＊10/6 ページ27

もう俺のこと好きじゃない？

せめてもの思いのつもりで言った？

意味深な言葉が引っかかる。

その言葉が俺の思考を嫌な方向に連れていこうとする。

『変なこと言ってすみませんでした。じゃ失礼します』

櫻井くんは立ち上がって頭を下げ、去ろうとした。

和「諦めんの？」

憂いを帯びた後ろ姿に、気づいたら俺はそう言葉を発していた。

ピタッと止まる櫻井くん。

けど振り返らないままで。

和「山本のこと、諦めんの？」

もう一度はっきり言うと。

『…後の祭り、ってやつですよ』

体の半分だけ振り返った櫻井くんは、悲しそうに笑った。

間接的な答えとその表情は、俺の予想が間違ってないことを示していた。

自分の気持ちに気づいた時には遅かった、って？

山本はほんとに、もう好きじゃないって言ったの？

言ったとしたなら、それは本心なの？

和「俺は、山本に幸せになってほしいと思うし、幸せにしてやれんのは俺だと思ってる」

急に話し出した俺を、いぶかしげな目で見る櫻井くん。

その目を見返して、俺は続ける。

和「けど、もしそうじゃない可能性があるなら？幸せにしてやれんのが、俺じゃないとしたら？」

和「諦めるのはまだ早いんじゃないの？」

櫻井くんが大きく目を見開いた。