再会、そして動き出す 3 (ページ21)

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92 Sho side ページ21

陸橋を通る電車の音に、はっと我に返る。

あの時、遥香は涙を拭った後も、「ちゃんと気持ち伝えなきゃ許さないからね？」って、俺の背中を押してくれたのに。

Aのこと、大事にしてあげるんだよって言われたのに。

そのAに「遥香さんのこと大事にしてあげて」って言われるなんて。

俺は2人とも傷つけた挙句、大事にしてあげることもできないのか…？

恋愛は理屈じゃない。

Aがもう俺のこと好きじゃなくなったのもそういうことなのかよ。

『くそっ、理屈だったらこんな苦しまなくてすむのに…っ』

はぁと重いため息をついた時。

ブブッと、ポケットのスマホが震えた。

見ると遥香からのLINEで。

ーーうちに置きっ放しの翔くんの荷物、いつでもいいから、取りに来れる日分かったら教えてください

そうだ。

スウェットとか置きっ放しじゃん。

でも…

こんなんじゃ遥香に会えねぇよ…

情けなさすぎるよ。

とりあえず、了解、とだけ送って、取りに行く日はもう少し経ってからにすることにしよう。