再会、そして動き出す 3 (ページ20)

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91 Sho side ページ20

『…遥香は、俺にはもったいなさすぎるな』

遥香「えーなにそれ笑」

『なんだかんだ言って、遥香にはいつも助けられてた気がする。最初は、俺が男らしく引っ張ってやるんだって思ってたんだけどなぁ』

小柄な体で顔を赤く染めて震える声で告白する遥香を見て、そう思ったはずなのに。

実際は俺なんかよりずっとしっかりしてて、俺が支えてもらってばっかだった。

そばにいてほしい時はそばにいてくれて、1人になりたい時はそっとしといてくれて。

俺は遥香に何かしてあげられてたのかな。

俺の想いは遥香にちゃんと届けられてたのかな。

遥香「そんなことないよ」

『え？』

遥香「翔くんに救われたこと何度もあるよ。いつもさりげなく助けてくれてた」

『、そうかな…』

遥香「そうだよ」

そっか…

ならよかった。

遥香「Aさんのこと、大事にしてあげるんだよ」

お母さんみたいなことを言うから、笑って「もちろんです」と言おうとした。

けど、言えなかった。

遥香の目から、すっと一筋の涙が零れ落ちたからだった。

『遥香…』

遥香「っ、ごめん、っう、」

俺には顔を背けた遥香の小刻みに震える肩しか見えない。

でもそこから全てを感じ取った。

遥香はずっと我慢していたんだ。

俺の気持ちに気づいた日からずっと我慢していたんだ。

遥香「ごめんねっ、絶対泣かないつもり、だったのに、っ」

俺はやっぱり何も分かってなかった。

遥香の寛容さに甘えすぎていた。

『ごめん、遥香』

泣き続ける遥香を引き寄せ、できるだけの想いを込めて、ぎゅっと抱きしめた。

遥香「っ、ばかっ」

『ごめん…』

遥香「っ、う、」

『今まで、ほんとにありがとう』