再会、そして動き出す 3 (ページ19)

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90 Sho side ＊10/2 ページ19

1週間。

俺はちゃんと向き合った。

Aのことちゃんと考えた。

考えれば考えるほど、俺がいかに幼なじみという理屈に逃げてたかがわかった。

幼なじみだから一緒にいて楽しい。

幼なじみだから何かあったのか心配になる。

幼なじみだから避けられてると気になる。

幼なじみだから話せないと寂しい。

幼なじみだから…

気づいたらAのことを考えてる自分がいて、そんな自分に「いやありえない」「幼なじみじゃん」って言い聞かせて。

それを繰り返してるうちに、「幼なじみだから」って理由で、全て正当化していた。

昔と違って恋を知ってるからこそ、その感情がどういうものなのかほんとは分かってたはずなのに、俺は気づかないふりをしていた。

それは遥香という彼女がいたからでもあると思う。

“俺は遥香が好きだよ”

“それは、私が今翔くんの彼女だからなんだよ”

今なら遥香の言いたいことが分かる。

彼女なんだから好きなのは当たり前。

それも俺の思い込みだった。

遥香のことはほんとに好きで、一緒にいる時はほんとに楽しかった。

けど、いつの間にか、俺の中では「遥香よりA」になっていた。

そのことに俺が気づかないふりをしてる横で、遥香は薄々気づいてたんだ。

遥香「ちゃんと向き合えてよかった」

俺の言葉を最後までしっかり聞いた遥香は、優しい目をしてそう言った。

『ごめん…遥香』

遥香「謝らないでよ。恋愛は理屈じゃないって言ったでしょ？誰が悪いとかないんだよ」

こんな俺なんか、「ふざけんな！」って殴られてもおかしくないくらいなのに。

決してそんなことせず、むしろ俺の心を優しく包み込んでくれる。