再会、そして動き出す 3 (ページ18)

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89 Sho side ＊10/1 ページ18

“恋愛は理屈じゃない”

そう言った遥香の瞳は苦しげで、俺は言葉を失った。

心臓だけがドクドク音を立てる。

遥香「幼なじみっていう理屈をつけて、本心から目を逸らしてるんじゃないの？」

本心から目を逸らす…？

俺の本心って…

遥香「そういう翔くんと一緒にいても辛いだけだからさ」

『え、遥香…』

遥香「目を逸らさずにちゃんと向き合ってほしい。幼なじみって言葉で片付けないで、Aさんのことちゃんと考えてほしい」

まっすぐな瞳とは裏腹に、微かに震える声。

はっきり言葉にはしなくとも、最後の意味を感じる雰囲気。

俺は…俺は…

遥香「1週間後」

『…え？』

遥香「1週間後、よーく考えて出た答えを教えて」

『…』

遥香「それまでは翔くんの彼女でいさせてね」

ふふって笑う遥香。

けど、その笑顔の裏に隠れた泣き顔が俺には見えた。

「話長くてごめんね、帰ろ！」と、先を歩いていく遥香の後ろ姿を見つめる。

なぁ遥香。

遥香は今日1日どんな気持ちだったの？

いつから話すこと決めてたの？

俺がAのこと気にしてるってなんで分かったの？

そんなに様子おかしかった？

聞きたいことはたくさんあるのに、遥香は電車に乗ってすぐ寝ちゃって。

小さな女の子みたいな無防備な寝顔に胸が痛んだ。

どんだけ不安にさせてたんだろう…

遥香のこと、ちゃんと分かってるようで分かってなかったのかもしれない。

きっとこの話をするのにかなり勇気が必要だっただろうし、2年記念日にしたのはあえてのことだったはず。

なら、俺はその遥香の想いをしっかり受け止めてあげるべきなんだ。

今俺にできることはそれしかない。