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私だって混乱してるよ。
“私は、もう翔のこと好きじゃない”
ああ言ったのは、彼氏ができたなんて言ったのは、自分に言い聞かせるためで。
一方的に喋って、翔の言葉を聞く前に話を終わらせたのは、もうこれ以上惑わされたくないから。
でも結局は、そんなのただの強がりでしかなくて。
吹っ切れそうだった翔への気持ちが、いつの間にか心の真ん中にどんと現れてる。
信じらんない。
信じたくない。
翔のことなんか忘れるんだよ。
二宮くんのこと好きになるんだよ。
あんな嬉しそうな顔してくれて、裏切ることなんてできないし、したくない。
遥香さんが彼女なら受け入れられる、って思ったんだから。
今さら…
ほんと今さら、そういうのいらない。
きっと翔だって、今頃、我に返って「やっぱり勘違いだったかも」って思ってるよ。
いくら鈍感でも、自分の気持ちに気づかないわけないでしょ。
翔は私のことを幼なじみとして特別に思ってるだけだよ。
だから私も、そうなれるように頑張ってるんだから。
こんなことに惑わされちゃだめだ。
「っ、う、」
…早く吹っ切ろう。
そしたらこんな気持ちになることもないんだから。
母「…A、帰ってきてるのよね？ただいまくらい言いなさいね？」
ドアの向こうから不意にお母さんの声が聞こえて。
「っ、ごめん…ただいま、」
嗚咽を堪えて返事をした。
母「…、夕飯できてるからお腹すいたら言ってね」
「、うん…っ」
お母さんはドアを開けてこなかった。
もしかしたら泣いてる声が聞こえてたのかもしれない。
でもそれに触れることもなくて、そっとしいてくれた。
今はその優しさがありがたかった。
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作者名：さくらこ | 作成日時：2016年9月19日 21時
