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『…は？』
「今日は彼女のお家に泊まるんだってね、ごめんね、2人の時間邪魔しちゃって。私は大丈夫だからもうほっといていいよ」
『お前何言って…』
「もう帰らなきゃ」
翔の方を見ずに言い切って立ち上がって帰ろうとしたら。
『おい、待てよっ！』
ぐっと腕を掴まれた。
「っ、離してよ…」
『ほっといていいってなんだよ！どんだけ心配したと思ってんだよ！』
「…」
『お前がいなくなったって聞いて、もしかしたら大事な用だったのかもって、今度にしてって言ったこと後悔して。
お前に何かあったらどうしようって、何かあったら俺のせいだって』
「…翔は何も悪くないよ」
『でもほんとに心配して。Aは何でも1人で抱え込む癖があったから、いつも俺が吐き出し口になってたから』
「っ、そんなの昔のことでしょ…」
『何かあったらここ来て1人で泣いてさ、俺がいつも迎えに行ってた。
俺が引っ越してからもずっとここ来て泣いてたんじゃねぇの？』
「っ、そんなわけ」
『じゃあなんでここにいたんだよ！』
「そ、れは…」
『ちゃんと迎えに来てやったから。何でも聞くから話してよ』
私の腕を掴む手にぎゅっと力が込められる。
翔に悪気がないのは分かってる。
翔はただまっすぐな優しさを私に向けてくれてるのも分かってる。
でも。
でも…！
翔の手を振り切って腕を離した。
「…そうじゃないんだよ」
『え？』
「翔に話せることはないから」
『…、話があってLINEしてきたんじゃねぇの？』
「…違う」
『じゃあなんで？』
「っ、…」
言えない。
言えるわけ…
「っ、会いたかったっ、から…」
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作者名：さくらこ | 作成日時：2016年8月26日 20時
