幸せのカタチ(しょうれん) ページ9
「おはよ」
まだ寝息を立てるその横顔に話しかける。聞こえてるのか聞こえていないのか、少しだけ頬が緩んだ気がした。
モゾモゾと動いたかと思えば、眠気に負けそうに目を擦りながら
『ん…、はよ』
と言うと、胸に頭を擦り寄せて布団を被りもう一度
眠りについてしまう愛しい人。
幸せな朝だと、こんな毎日が続けばいいと。
一緒に布団に潜って頬に手を添えて軽く唇に触れる。
『んぅ…』
起きる様子のない廉の赤ちゃんのような寝顔に思わず笑みが溢れる。
「れぇん、そろそろ起きよ。もうお昼だよ。
もー起きないなら、またちゅーしちゃうよ？」
寝ぼけている頭にゆっくりと届いた声で、ワンテンポ遅れて頬を染める。
それでも、身体を動かす素振りを見せない。
起きてるくせに…。
ふぅっと幸せのため息をこぼして、両手を頬に添えて先ほどよりも少し甘くて長いキスをすれば上目遣いでこちらを見上げている。
『しょお…もっかい、して』
「…」
『しょお？だめ…？お願い』
はぁ、
俺はこの顔、この声、この仕草に滅法弱いのだと思い知らせる。
布団に潜ってもう一度、
『んっ…、目ぇ覚めた。しょう、おはよ』
「起きよっか」
ベッドを出て2人揃ってリビングに向かい何をするでもなくソファに並んで座る。
せっかくの貴重な休日をゲームなんかに奪われていてはもったいないから、
「れーん、きて」
そう言って膝をトントンすれば、ソファの下に降りて俺の膝を肘掛けにしてすとんと背を向けて座りスマホに戻ってしまう。
そうだけど、そうじゃない。
「今日はこっちがいいかなぁ」
そう声をかけて振り向く廉をひょいと持ち上げて
膝に跨るように座らせる。
息が吹きかかる距離に顔と顔が近づいて、ここまで近づけばスマホを手放して俺だけを見てくれる。
『ん…、なに、？』
「んふふ」
息が吹きかかり擽ったそうに顔を歪めこちらを覗いてくる。
なんで？と言わんばかりにはてなが浮かんだ顔をした廉が、
可愛くて、愛おしくて。
離れたくない、このままずっと一緒にいたい。
「幸せだなぁ廉が好きだなぁって思ってさ
れん、愛してるよ」
『……俺も。』
「…俺も、なに？」
そう悪戯に尋ねれば、
『…俺も、紫耀のこと、愛してる…』
頬を真っ赤に染めて、
ひとつひとつ言葉を紡ぐ目の前の恋人に胸がいっぱいになって─。
この幸せが、ずっと続きますように。
願いが届くように優しくキスをした。
fin.
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作者名：viawebdin | 作成日時：2023年7月26日 8時
