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忙しかった個人の仕事が落ち着いて、直ぐにでも紫耀に会って愛を確かめたい。
怖かった。でも、会って話し合う他ないと思った。
「紫耀、今日の夜会えへん？」
「俺も話したいことあったし、会おう」
話したいことって…なに？
別れ話？
浮かんできた最悪の展開に首をぶんぶん振って自分に言い聞かせる。
一昨日まで好きって言ってくれてたんやし、さすがにないやろ…
いつも通りご飯を食べて、少しだけ涼しくなった夜道を2人並んで歩く。
手は、伸ばさないまま。交わらない右手が寂しく揺れる。
あー…これから…
なんで？なにがあかんかった？
ご飯食べてる時やっていつも通りやったやんか…
俺の分をよそってくれて、
「はい、これ廉の分」
って渡してくれたやんか
あぁ、でもそういえば
食事中全く目が合わんかったな
夜も深まって誰もいない公園のベンチに腰掛ける。
心臓が飛び出そうなほど波打っているのがわかる。
息をするのも忘れるほど、緊張してお腹が痛い。
空気が動いて、紫耀が口を開いた。
「れん、別れてほしい」
わかってた、はずなのに
「やだ、どうして？何があかんかった？
紫耀が嫌だって思うとこ、全部なおすから」
「れん、」
分かっていても溢れる涙が止まらない。
気づけば子どものように両手で涙を拭いながら、
やだ、別れたない、やだ
なんで？
と、紫耀にぶつけていた。
困ったように苦しそうにしている紫耀がぼやけた視界に浮かび上がるが
ごめん
としか言わない紫耀はもう別れることを覚悟していて、決意は揺るがない
そんな顔をしていた。
もうだめなんだ
止まらない涙の中で、子どものように泣き喚く俺の横で、
紫耀がどうしてそう思ったか理由を説明している
でもそのどれにも俺は納得できず、別れたくない
と伝えるしかできなかった。
紫耀が素っ気なくなってからたった2日。
一緒に花火を見て、来年を約束してからたった4日。
頭も心も追いつかないまま、毎日毎日考える。
涙も枯れるほど流したはずなのに、センチメンタルな夜が涙を誘う。
自分でも制御出来ないほど、どうしようもないほど
紫耀の事が好きで、大好きで、
考えるだけでこんなにも苦しいのに
あの時の花火に乗せた
また来年も
なんて願いは儚く散った。
こんなはずじゃなかったのに。
俺だけが今もまだあの日のまま。
紫耀を好きなまま。
取り残されている。
fin.
沈んで散って(しょうれん)→←散りゆく華に願いを込めて-1(しょうれん)
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作者名：viawebdin | 作成日時：2023年7月26日 8時
