短編集【実ｼ兄者】 (ページ2)

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こわい　zm ページ2

ゾムさんのお話です。
現パロ

早速ですが私は事故物件に住んでいます。
私だって住みたくて住んでるんじゃない。金がないのだ。世の中は金だと部長も言ってた。そんな部長は脱税で捕まってしまったけれど。
捕まることもそれはまた世の中の動きではあるから理にかなってはいる。部長、体を張って教えてくれて本当にありがとうございます。

部長の話はどうでもいい。問題はまあ、事故物件なだけあって出るのだ。幽霊が。
私は所謂霊感がある人間でそれなりに見える。やばいやつもいるけれど基本はただ存在するだけの温厚な人。たまに変な豆知識も教えてくれる。

こちらに干渉しない幽霊ならまだいい。本当に勝手に存在するだけならよかった。本当の本当に問題なのがこの幽霊、私にちょっかいをかけてくるのだ。

「もーーー！！邪魔！何？！」

確定申告に迫られている私をよそに幽霊は笑顔で邪魔をしてくる。深く被った緑のパーカーで顔ははっきり見えないが20前半…？くらいに見える。若くして亡くなってしまったのだろう。南無南無。

幽霊となってしまう理由はこの世に悔いがあるから、だから成仏させるには思い残したことを果たすか霊媒師に祓わせるかしかない。(流石に惨いから霊媒師は呼ばないけれど…)

「何か用あるの？」

何度目かわからない質問。彼はいつも難しい顔をして、考え込む様子を見せて、両手で大きくばってんの印を見せる。不思議な幽霊。喋ればいいのに。

まあおかげで寂しい思いはしてない…はず。実質的には一人なので、幽霊がいるから寂しくないという発言の方がよっぽど寂しい気がする。深読み警察なのである。

「おばけくん、今すごく大切な紙書いてるから静かにしてよね」

明らかに不服そうな顔をされたがため息を付き了承してくれた。セクシーサンキュー。
そもそもの話だが確定申告が悪いとは思う。こんなの二度とやりたくない。