#2 一等星のカノジョ【ars K.N】 (ページ14)

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40.ノックアウトページ14

「彼女、って言ったらもう勘弁してくれる？」

会話に割り込んできたカズは私を庇う様にしてリナさんの前に立った

「リナさんコイツ素人なんで。そういう業界のバチバチしたやり合い対応できないんすよ」
「私は別にそんなつもりじゃ…！その人二宮さんの何なの！？」
「だから彼女だって。…あ、A、今日はハンバーグがいいな、俺」

振り返ってニコっと笑うカズ

きっとこの場を丸く収める為の嘘だろうと、ここはひとまず乗る事にした。

「うん、作って待ってるね」
「俺も早く終わらせて帰るからさ、楽しみにしてる」

カズは"またね"と私の頭に手を置いて仕事に戻った

さすがにポンポンはやり過ぎじゃ…と思いながら恐る恐るリナさんの顔を見てみると、
唇を噛み締めこちらを睨む目がそこにあった

「何なのよ、今の会話…」
「すみません、私たち一緒に住んでるので」
「なっ…」

ノックアウト
我ながら華麗なパンチが入ったと思う

今日は貴重な経験ができて良かった
けど、モデルなんてもう……懲り懲りだ

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「うわ、本当に作ってくれてる…」
「今日は色々助けられちゃったからね」

ハンバーグをメインにサラダやパンが並んだ食卓を見て、カズは嬉しそうに椅子に座った

思い返してみるとこうして二人で食事をするのは今日が初めてかもしれない

「こうしてるとさぁ、本当に恋人同士みたいネ？」
「あっ…さ、さっきはありがとう！リナさんから庇ってくれて！」
「プッ……顔赤いよ」
「カズが変なこと言うからでしょ！？」
「変なことって？」
「私のこと彼女とかハンバーグがいいとか！」
「こんなに旨いハンバーグ食わしてくれるならそれでもいいかな」
「え？」
「なーんて。…ねぇお茶取ってきて」

もぐもぐと頬を動かしながら顎で指示を出す

会話を強制終了された気がするな…それにしてもなんて偉そうな態度なの

カズってもしかして亭主関白？
お嫁さんになる人は大変そう……

「あれ…何これ」

お茶を手にキッチンから戻ると、お箸のそばに小さな袋が置いてあった

シンプルなラッピングがされている

「今日のお礼。開けてみて？」
「……わぁ、綺麗」

これ…撮影でつけたブレスレットだ

「それ、お前に似合ってたからさ」

やめてよ…
そんな優しい顔しないで

「ありがとう、カズ…」

リナさんの前でついた嘘を、『事実』にしてほしくなる