#2 一等星のカノジョ【ars K.N】 (ページ12)

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38.撮影現場 11/16 ページ12

「初めまして。今日は宜しくお願いします」

カズに頼まれていたモデルの件で、とあるスタジオに来ていた

カメラマンの方と挨拶をして、案内されたソファに座る

傍には様々なデザインのブレスレットが並んだテーブルがあった

綺麗……

あれを今からつけて撮影するのかな
顔は映らないにしても緊張する…………

「二宮さんに頼まれて来た方？」
「え？あ、はい…」

突然声を掛けてきたのはスタイル抜群の女性だった

端正な顔立ちで、醸し出すオーラも一般人とは明らかに違う

きっとモデルさんだ

「ふーん…？どうして貴女みたいな人を起用したのかしら」
「う、、、」

そういう事は心の中で言って欲しい
何も言い返せない

「あはは…なんか、手だけでいいからって言われて」
「へぇ…たいして綺麗な手でもないのに。あ！あれじゃない？友達ならギャラが発生しないからじゃない？」
「……」

何この人、すごく感じ悪い
こんなに綺麗な風貌なのに……

「ギャラなら出るよ」
「あっ、二宮さぁん！」

会話に入ってきたカズに猫撫で声で近づくその女性。あからさま過ぎて見てられない。

二人はどういう関係？
あーもう、モヤモヤする……

「リナさん、あまり適当な事言わないでもらえます？」
「だってぇ～こんな素人さんが来るなんて思ってなかったんですもん～」
「素人だけど手の美しさは貴女といい勝負してますよ」

終始冷たい口調でいるカズに少し安心した

ただえさえアウェイなこの空間で、カズまで向こう側につかれちゃメンタルが持たないもの

「それじゃ始めまーす。最初はリナさんからで！」

アシスタントらしき人が場を仕切る

撮影自体はとてもシンプルで、
１５種類ほどあるブレスレットを手首につけて様々な角度から撮る、の繰り返しだ。

「手首もう少し上げて…そうそう、耳元らへんでストップ」

…ん？
あれじゃ顔も写ってしまうのでは…

そういえばよくよく見るとリナさんのメイクって撮影用っぽい気も

「そんな不安そうな顔するな。お前は手元だけだから」

両腕を組みながら撮影を見守っていたカズが言う

「あの人は大野さんが見つけてきたプロのモデル。今回のページのトップを飾る人だからああやって色んなポージングさせられてんのよ」
「へぇ…どうりで綺麗なわけだ。やっぱりプロは違うね」

こんな綺麗な人と仕事する機会があるなんて、ヤキモチ妬いちゃう元カノの気持ちが少し分かるかも…