#2 一等星のカノジョ【ars K.N】 (ページ11)

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37.ゼロ距離ページ11

大野さんが遊びに来てるなんて聞いてない

もうこんな遅い時間なのに…
まさか泊まる気？それはちょっと……

＿"ダメだよ、カズは渡さない"

「あーもう！思い出しちゃうじゃない…」
「思い出すって、何を？」

いつの間にか扉から顔を覗かせていた大野さん

彼はそのまま中に入ってくると、何ともナチュラルに私の隣に腰を下ろした

「俺とキスした時のこと？」

ゼロ距離で耳元に囁きを落とす

大野さん…？初めて会った時とはだいぶ印象が違うと思うんですけど…

「あの…カズは？」
「元カノと電話してる」
「え…」
「多分ね。…ショック？」
「別…に」
「相葉ちゃんと上手くいったから？」
「はい？」
「なーんだ。その顔は違ったかー。ドンマイ相葉ちゃん」

もう、大野さんが一体何をどうしたいのか全く理解できない

それにカズが…元カノと電話？何を話してるんだろう…ていうかまだ連絡取り合ってたんだ…

「ねぇAちゃん。カズの事が好きなのに相葉ちゃんとデートに行って、カズの事が好きなのに俺とのキスを思い出して…それって本当にカズが好きなの？」

また訳の分からない質問を…
そもそもカズの事が好きだなんて大野さんに言ってないのに

「カズに特別な気持ちは無いし、相葉さんは大切なお友達。大野さんとの事も…覚えていませんから」
「へぇ…」

元々ゼロだった距離が、次は"密着"へと変わる

自然と肩に回ってきた大野さんの手を振り払わなかったのは、

まさかカズも居るこの家で何かをされるなんて思っていなかったから。

だけど…

「覚えてないなら、思い出させてあげる」

この人はそんな事お構いなしで、私の唇を堂々と奪った

後頭部にある彼の手は私を逃さない
唇が離れても、すぐに埋められてしまう

だけど生温かいものが口の中に入ってきた時、私は最大限の力で大野さんを突き飛ばしてしまった

「Aちゃん…力強すぎ」
「な…なんでこんな事するの！？」
「なんでって…俺に落ちればいいのになー？って」
「はい？」
「まぁいいや。今日は帰るね。カズもそろそろ終わりそうだし」

さっと立ち上がった大野さんはカズと入れ違いで部屋を出て行った

「え？大野さん？…A何かされた？大丈夫？」
「う、うん！何もない！少し話してただけ」
「そっか…。あ、明後日のモデルの件なんだけど10時からじゃなくて12時でもいい？いま電話で変更入って…」

なんだ…電話の相手、元カノじゃなかったんだ