#2 一等星のカノジョ【ars K.N】 (ページ18)

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44.彼氏みたい、じゃダメページ18

目が覚めてすぐ、ここは自分の部屋じゃないと気付いた

天井の照明も部屋の匂いも窓から入る光の加減もいつもと違う

じゃあここは？

昨日、私はカズの部屋にお邪魔して、ゲームをして、それで……それで？

「あー……悪い事しちゃった、私」

リビングのソファに一枚のタオルケット
おそらくカズはここで寝てくれたんだろう

肩とか凝ってないかな…絶対疲れるよここじゃ……

【昨日はベッド占領してごめんね。体、痛めてない？】

家を出る前に送ったメールはすぐに既読がついた

【それより中華食べたい】

予想外の返事
体は痛めてないって事でいいのかな？

とりあえず今日の献立は決まった。中華ね

【今日遅番だからカズの帰宅時間には間に合わないかもだけど、作っておくね】

ハンバーグ以来ちょくちょく家で一緒にご飯食べるようになったけど、

こうしてリクエストされるのって彼氏みたいで嬉しいな。

彼氏…みたいで……

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「はぁ……"みたい"じゃダメなんだよぉー…」

午後６時過ぎ
店内のショーケースを磨きながらため息を落とす

売れ残りの僅かなケーキたちが私を心配そうな目で見上げている気がした

「お前さ、あからさまに恋煩うのやめろよな」
「潤くん…」
「まぁ、誰に惚れてるかなんて俺は知りたくもないけど」

潤くんはショーケースに肘を置き、ふいっとそっぽを向いた

「なぜ不機嫌…？」
「教えない」
「えー………あ、私が仕事に集中してなかったからだよね。ごめん」
「それもある」
「も？」
「いいから仕事しろ。売上達成まであと２０００円だ」

うん…今はうじうじと考えるのはやめよう
閉店まであともう少し…切り替えなきゃ。