#1 一等星のカノジョ【ars K.N】 (ページ9)

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9.大好きなお店ページ9

「Aがシフトインしてるなんて、久々だな」
「うん、今の私レアキャラだからね」

就職する前にバイトで働いていたカフェ「シリウス」

実はＯＬをやりながら隙を見つけてまだ働かせてもらっている。

給料は手渡し。
月に１～２回くらいの勤務だ。

ここまでしてこの仕事を続けるのにはシンプルな理由がある。

「そんなに好きならここに就職すれば良かったのに」

このカフェで社員として働く潤くんは続けて有難い言葉をくれた。

「Aなら即採用だったぞ？店長にだって気に入られてるし、きっとうまくやってくれてたよ」
「うん…でも一応会社に勤めてみたかったというか。…あ、でもね？もう辞めるんだ、今の仕事」

シンプルに「好きだ」という理由でもう一度働きたかった。

給料的には激減するし
土日も働かなきゃならないし

会社勤めに比べたらお金も自由も減るけれど…

____"やりがいはあるよ"

自分の仕事に誇りを持って話すカズが羨ましいと思った。

それに今はルームシェアで家賃半分。
この状況に甘えて
やりたい事をやろうって決めたんだ。

「仕事辞めてどうすんの？ウチはもう社員募集してなかったけど…」
「まずはバイトとしてこれからたくさんシフト入れてもらう。お金の事考えたら社員になる事は大事だけど…私はここで働けたらまずはそれでいいの」
「そっか。なら、訛った体は俺がスパルタで蘇らせてやるよ」
「お願いします！」

ケーキが並ぶショーケースを挟んで、互いにぺこりとお辞儀。

「よし、もうすぐ開店だ。店内整えろーーーー」
「はい、かしこまりました！」

これからはまた大好きなこのお店で働けるんだ。
一応、カズにも報告しておこう。