#1 一等星のカノジョ【ars K.N】 (ページ5)

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5.裏切らない男ページ5

「さぁ、どういう事か説明してもらいましょうか？」
「ハハハ…お、落ち着いて？Aちゃん？」

昼休みにこうしてヒトミと会うのは初めてだった。

お互いの会社が近くにあった事に今、すごく感謝している。

「落ち着けるわけないでしょ！今日だって家に帰ったらあの人が居るんだよ？彼氏でもないのに！」
「どう？仲良く出来そう？」
「まだ２日目だから分からないけど多分……ってちがーう！」
「あはは！ごめんごめん！」

定食をつつく箸を置き、両手を合わせて謝る仕草。
本当に反省しているのだろうか…

「あのね、最初は本当に女の子だったの！でも途中で"やっぱやめとく"って断られてさぁ」
「ならそのままルームシェア計画はナシにすれば良かったじゃない」
「だってさ？タイミング良く家探してる人がいたんだもん～」
「いたんだもん～って、見知らぬ男女をよく同居させようと思ったよね」

こっちはいつ彼氏が「遊びに行きたい」って言い出すかとヒヤヒヤしているというのに。

「まぁでも安心して？彼女いるから、アイツ」
「あ、そうなんだ………」

って、

彼女いるなら尚更一緒に住まわせちゃダメだよね。ヒトミってちょっと…変わってる？

「あ、変な目で私のこと見てるー」
「だっておかしいじゃん。彼女いるって知ってるのに」
「カズがとにかく安い物件を探してたのよ。ボロいアパートよりも５万で２ＬＤＫに住める方がいいじゃない？駅から遠いってのが難点だけどね」
「すみませんね、そういう物件選んじゃって」

ヒトミの提案を受けてわざわざ広い家を探したっていうのに。

「別に責めてないよ？むしろめっちゃくちゃ感謝してるんだから！カズを追い出さずに受け入れてくれて」

それは違う。
追い出せるような隙が無かっただけだ。

「あとね？彼女のいるカズをどうして同居させたか……それはカズが彼女を絶対裏切らないって知ってるから」
「…？」
「大好きなのよ、彼女のこと。だからAに手は出さない。ね？安心した？…って、Aだって彼氏いるじゃーん」

お互い恋人がいるから
一緒に住んでいても問題ナシ…ってこと？

いやいや、問題大アリ。
やっぱりヒトミって、変。

そして、なぜか、今、

" 大好きなのよ、彼女のこと "

すごくモヤモヤする。