19.突然の来店 ページ19
「A、提供お願い。C卓」
潤くんの作ったフルーツパフェをトレンチに乗せ、お客様の席まで運ぶ。
パフェがテーブルに立つとすぐに撮影会。
ここ最近は"SNS映えするスイーツが多い"と女性客で賑わっていた。
さらには潤くんのルックスに惚れ込んで、そこからリピーターになる人続出。
おかげでお店も大繁盛だ。
「ありがとうございました。またお待ちしております」
最後のお客様を見送って、閉店準備に取り掛かった
お店が閉まるまであと30分。
日曜日は引きが早いし、
今日はもう営業終了かな…と、気を抜いた時。
「まだいける？」
ドアベルと共にカズが来店。
予想外のお客様に少しパニック。
「え、な、なんで！どうして！」
「コーヒーください」
「ここの場所教えてたっけ！？」
「ブラックね」
「ちょっと！」
「うるっさいなぁ…お前が仕事辞めるって話した時に教えてもらったっつぅの」
「……あ、」
そう、でした…。
お店の名前も場所も、しっかりとお伝えしてました
「でも、どうしてまた？カズが来るなんて意外」
「同居人の働きぶりくらい見に来ても別に可笑しくないでしょうよ。早くコーヒー」
「働きぶりって…もうすぐ閉店なんですけど」
それにここは紅茶が美味しいのに…と心の中、厨房にオーダーを通す。
奥では潤くんが不審な目でこちらを見ていた。
「(ごめん、私の知り合いなの)」
なんとか目線だけで伝えて、出来上がったコーヒーをカズの元へ運んだ。
「……ん、うまいね」
「紅茶も美味しいのでまた是非」
「あ、そっか。紅茶が売りか。悪い悪い」
だいぶ寛いでいるカズに、今なら聞けるかも…と、前から気になっていた事を問い掛けた。
「ねぇ、彼女とはどうして別れたの？」
「急にナニ(笑)」
「前から気になってて…もうお客さん来ないと思うし、少しお話聞かせてよ」
「うーん……どうして、ねぇ」
___"大好きなのよ、彼女のこと"
ヒトミもそう言っていたし、相葉さん達の話を聞いてる限りとても仲良さそうなカップルって印象で。
周りから一途と言われていた人が、
どうして彼女と別れる事になったのか。
振ったのか、振られたのか。
単純に気になったんだ。
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作者名：ミト
| 作成日時：2019年10月26日 19時
