#1 一等星のカノジョ【ars K.N】 (ページ14)

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14.目撃ページ14

自分の彼氏が他の女の子と一緒にいる場面を初めて見た。

そりゃ異性の友達くらい居るだろうし、
二人で飲みにだって行く事もあるだろう。

だから今、
私はそこまで傷つく必要は無いのだけれど……

「あれはクロだな」

大野さんが見抜いたような口調で言った。

クロ？
ただ一緒に居るだけなのに？
どうしてそう言い切れるんだろう

「大ちゃん何言ってんの！そんなワケないじゃん」

すぐに相葉さんがフォローしてくれたけど、
もし本当にあれが浮気だとしても私はきっと……

「本気で好きじゃないんだね～、彼氏の事」
「えっ？」
「だって平気そうな顔してる」

大野さんはフフっと口角を上げた
私の気持ちも見抜かれていたみたいだ

「今のアンタの立場がハルなら、泣いて彼氏の事を責めてただろうなぁ」

"ハル"…カズの元カノだ。

「確かに、超ヤキモチ焼きだったもんね」
「人柄はすごくいい感じだった気がするけど」

相葉さんとヒトミも、
"ハル"さんの事をよく知っているみたい。

そんなにカズの事が好きだったのかな。

私は彼氏が原因で泣いた事なんて一度も無いから、少し羨ましい。

「なんか…重たい空気になっちゃったね？場所変える？」

確かにどんよりとしていたこの空気に相葉さんは控えめな声で言った。

それに続けて大野さんが立ち上がる

「よっし。気分変えて二軒目行くか」
「元はといえば智がクロとか言うからでしょ！」
「うるせぇなぁ。早く行くぞ、ほら」

ヒトミと揉めながら大野さんはレジに向かった。

私が彼氏を見つけなければこんな感じにならなかったのに…申し訳ないな。

「Aちゃんごめん、嫌な思いさせちゃったね」
「どうして相葉さんが謝るんですか！私は全然平気です！次行きましょう？」

二軒目ではたくさん飲んで、たくさん楽しもう。