101回目のお願い ( ab×sk ) (ページ1)

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七月七日(火) .1 ページ1

ab side.

木々のざわめき、澄んだ鳥の鳴き声、頬を掠める生暖かい風。

大きく息を吸い込めば、ふわりと甘い花の香りがする。

東京の一部とは思えないほど静かで、自然を間近に感じることができる。

そんな自然に囲まれたこの神社にはほとんど参拝者が来ず、正直言うと退屈だ。
同じことを繰り返す毎日に、飽き飽きしている。

それでも、汚れていると福も人もやって来ないという父の教えのもと、日課の掃除を始める。

七月にもなると、昼の二時は日が照っていて暑くて仕方がない。
ジリジリとここを蝕んでいく暑さに気が狂いそうになりながらも、箒を持って本殿の周りを掃いていた。

今日もまた、夕方にいつもここでお茶をするおじいちゃんと、おやつの時間にご飯をもらいにくる黒猫以外とは関わることなく一日が終わるんだろうな。

そんなことを思いながらひたすらに手を動かしていると、ふと鳥居のそばに人影が見えた。
それだけでいつもと違う一日が始まる予感がして、軽く胸が高鳴る。

どんな人かは分からないけれど、もし時間があるのなら少し話したいな。なんて思っていた。

その人が近づいてくるにつれ、どんな人なのか明るみになっていく。
小柄で色が白く、くりっとした大きな目をした、所謂イケメンの部類に入る男性。
緊張した面持ちで、ゆっくりと、丁寧に動作をこなしている。

お正月ならまだしも、こんな神社に初めて参拝に来る人は、御百度参り以外考えられない。

御百度参りのルールに則ると、話しかけたりはできない。
少し残念に思いながらも、手水舎(ちょうずや)で身を清めている彼に見つからないよう、そっと本殿の陰に隠れることにした。