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「こう見えても高1です」

「全然見えません」

「はは」



踏み入れた2年棟。

次第にざわめき出す周囲。


あれ、このこもしかして、有名人?




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当の本人は何を気にするわけでもなく
言うならば、先程よりも眠たそうな表情で
私の横をついてくる。

ざわめきの発端は勿論女子生徒だった。



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「なにやってんのお前」




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聞きなれた声に顔を上げる。

ぱちっと交わった目線
不信感を含むような丸い目。

後輩くんが頭上にハテナを浮かべ
困ったように私に視線を向ける。




「……後輩に何させてんの?」

「いや!これは色々とね、うん、」




眉間にシワを寄せた瑞稀がズカズカと長い脚で近づいてきて ぐっと顔を覗き込んでくる。

目を逸らせば、隣の後輩くんが気になって仕方ないのか無音の問いかけ

すなわち、口パクでの「コイツ誰」
瑞稀は酷く人見知りだ。

初対面で彼と話せた人間なんて、数える程しかいない。



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「何か勘違いをされているようですが、別に俺は彼女に虐められている訳では無いです」

「彼女が手一杯に缶ジュースを抱える姿があまりにも可愛らしかったので、思わず手を貸しました。」



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ん?



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「エッ!?ちょ、君!?」

「んだコイツ」

「勘違いしてらっしゃるようなので」



爽やかに微笑む後輩くん。
呆気にとられた様子の瑞稀。
そして


かわいい

普段全く聞きなれない4文字に興奮する私。






「瑞稀聞いた!?可愛らしかった、ですって!」

「お前うるせえなお世辞だわお世辞」

「素直な気持ちですよ」

「ほらー!瑞稀あんたも可愛いの一言くらい言ってみたらどう?!」




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これが後輩くんとの出会いだった。


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設定タグ:井上瑞稀   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:スイ | 作成日時:2018年12月16日 13時

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