6 ページ6
.
.
「こう見えても高1です」
「全然見えません」
「はは」
踏み入れた2年棟。
次第にざわめき出す周囲。
あれ、このこもしかして、有名人?
.
当の本人は何を気にするわけでもなく
言うならば、先程よりも眠たそうな表情で
私の横をついてくる。
ざわめきの発端は勿論女子生徒だった。
.
.
.
「なにやってんのお前」
.
.
聞きなれた声に顔を上げる。
ぱちっと交わった目線
不信感を含むような丸い目。
後輩くんが頭上にハテナを浮かべ
困ったように私に視線を向ける。
「……後輩に何させてんの?」
「いや!これは色々とね、うん、」
眉間にシワを寄せた瑞稀がズカズカと長い脚で近づいてきて ぐっと顔を覗き込んでくる。
目を逸らせば、隣の後輩くんが気になって仕方ないのか無音の問いかけ
すなわち、口パクでの「コイツ誰」
瑞稀は酷く人見知りだ。
初対面で彼と話せた人間なんて、数える程しかいない。
.
.
.
「何か勘違いをされているようですが、別に俺は彼女に虐められている訳では無いです」
「彼女が手一杯に缶ジュースを抱える姿があまりにも可愛らしかったので、思わず手を貸しました。」
.
.
.
ん?
.
「エッ!?ちょ、君!?」
「んだコイツ」
「勘違いしてらっしゃるようなので」
爽やかに微笑む後輩くん。
呆気にとられた様子の瑞稀。
そして
かわいい
普段全く聞きなれない4文字に興奮する私。
「瑞稀聞いた!?可愛らしかった、ですって!」
「お前うるせえなお世辞だわお世辞」
「素直な気持ちですよ」
「ほらー!瑞稀あんたも可愛いの一言くらい言ってみたらどう?!」
.
.
これが後輩くんとの出会いだった。
.
177人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:スイ | 作成日時:2018年12月16日 13時